かごの中でネズミが1匹、身動きできなくなっている。窮地に出くわした別の1匹は、扉を開けて救出しようと試みる。ネズミには困っている仲間を助ける習性があるという。米シカゴ大学の研究者が面白い実験をしている◆薬でおとなしくさせたネズミを1匹そこへ放ってみる。何も手伝わず、じっと傍観しているだけ。すると、さっきまで頑張っていたネズミまで何もしなくなった。小さな生きものの生態は、人間社会をのぞいているようでもある◆「誰かがやってくれる」と傍観していると、やる気のある人の熱意まで奪われる…。高齢化が進む地域社会には、住民同士の支え合いやにぎわいの再生など、さまざまな課題が横たわっている。もう誰かが手を差し伸べてくれる時代ではない◆県内でまちづくりやボランティアなどに取り組むCSО(市民社会組織)が集まり「自発の地域づくりサミット」が27日、佐賀市の市村記念体育館一帯で開かれる。コロナ禍で活動が制約されるいま、互いに刺激し合い、次の世代にバトンをつなぐきっかけにしたいという◆ネズミの実験では、普通の元気な1匹が協力的な仲間として加わるだけで、張り切って救助活動に励んだそうである。「誰かがやってくれる」をやめれば何かが変わる。地域も、きっと。問い合わせは電話0952(26)2378。(桑)

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