野中耕介学芸員

石本秀雄「K子の座像」(1968年、油彩・カンヴァス、佐賀県立美術館蔵)

 今回のコレクション展「佐賀・美の道」は日本画、洋画、彫刻等、計46点の出品作品を通して、近代から現代につながる佐賀の美術の歴史を紹介する展覧会です。佐賀の美-美術-はどこから来て、どのように歩みを進め、そしてどこに向かうのか。いささか壮大に過ぎる言い方かもしれませんが、しかしこれこそが、私たち県立美術館の存在と活動の原点であり、これからもずっと見つめていくべきものだと思っています。

 佐賀県立美術館は1983(昭和58)年の開館以来、美術品の収集・展示等を通し、本県の美術文化の発展に寄与してきました。岡田三郎助(おかだ・さぶろうすけ)などの日本を代表する近代洋画作品をはじめ、佐賀県ゆかりの日本画、洋画、彫刻、工芸等多岐にわたるコレクションの数は現在4000点を超え、郷土の美術の歴史を一望できる極めて充実したものとなっています。

 展覧会は佐賀の美術における重要なトピックを軸にして構成しました。「洋画がやってきた」の章では、佐賀の人で初めて西欧で洋画を学んだ百武兼行(ひゃくたけ・かねゆき)の「少女像」(明治14年)や、岡田三郎助の風景画で最大級の大きさを誇る「富士山(三保にて)」(大正9年)等、近代の名品の数々を紹介。「佐賀県の美術展覧会の始まりと美術教育」の章では、佐賀県初の総合美術展覧会「佐賀美術協会展」の中心画家山口亮一(やまぐち・りょういち)の傑作「鳥と子供」(大正10年)、佐賀大学特設美術科の最初の洋画教師であり、戦後佐賀洋画壇をリードした石本秀雄(いしもと・ひでお)の爽やかな色彩が冴える「K子の座像」(昭和43年)を展示しています。

 そしてもうひとつ、本展では昨年11月に92歳で逝去した佐賀県出身のアヴァンギャルド(前衛)美術作家・池田龍雄(いけだ・たつお)の作品を紹介しています。社会に対する批評精神を貫き、個性あふれる作品で美術界に衝撃と深みを与えた池田の功績は忘れられません。

 本展で当館の充実したコレクションをより深く知っていただくとともに、郷土の美術の多様性と、それらをじっくり鑑賞する楽しさを味わっていただければと思います。ぜひお越しください。

 ▼コレクション展「佐賀・美の道」は28日まで、佐賀市城内の県立美術館で。入場無料。

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