染付梅に鶯文皿(右:1640年代、左:1670〜90年代)

 立春を過ぎ、日に日に暖かさを感じる日も多くなってきた。先日、ふと見上げると、梅の枝に白と紅のつぼみが膨らみ始めているのが目に留まった。春の花と言えば、何と言っても桜だが、一足先に春を予感させる花と言えばやはり梅。そう言えば、泉山磁石場では、そろそろ鶯(うぐいす)の声も聞かれる頃である。

 「梅に鶯」と言えば、日本では、二つのものが調和したり、しっくりくる取り合わせのたとえとしておなじみである。同じような例は、花札に見られるように、「松に鶴」や「紅葉に鹿」「柳に燕(つばめ)」などいくつかあり、実は、こうした取り合わせは、有田の古陶磁の中でも定番である。

 しかし、自然界で梅の枝に止まる鶯が見られるかと言えば、どうやら期待は薄そうである。似たような鳥でも、果実や花の蜜を好むメジロならともかく、雑食性で昆虫類を好む鶯にとっては、梅の花はあまり好みとは言えなさそうだ。

 「梅に鶯」は、もともと中国起源の取り合わせという説があるものの、中国や朝鮮半島では、梅と言えば、まずはカササギ。特に鶯との間に、特別な結び付きはない。

 梅を描く有田磁器は、すでに磁器の創始期にあり、使用頻度では番付上位にくる花文様である。単独のほか、松竹梅や竹梅の組み合わせが一般的で、「梅に鶯」の図柄も、遅くとも1640年代には用いられ始めている。(有田町歴史民俗資料館長・村上伸之)

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