政府は、不法滞在などで国外退去を命じられたのに理由なく退去を拒んだり、入管施設での収容を一時的に解く仮放免中に逃亡したりした外国人に懲役刑や罰金刑を科すことなどを柱とする入管難民法の改正案を閣議決定した。これまで難民認定申請中は停止していた強制送還手続きも、送還逃れのための申請と判断した場合には進める。

 一方で、自発的に出国した人については上陸拒否期間を短縮。逃亡の恐れがなければ支援団体などを「監理人」として入管施設外での生活を認める「監護措置」を新設するなど、硬軟織り交ぜた内容だ。国際社会で長年、批判の的になっている外国人長期収容の解消を図りたいとしている。

 2年前、長崎県の入管施設で長期収容に抗議してハンガーストライキをした男性が死亡。これをきっかけに出入国在留管理庁は有識者専門部会を設け、検討を重ねてきた。ただ罰則を巡っては専門部会で「刑務所と入管施設を行き来する人が増えるだけで、実効性がない」「難民認定などを求める裁判が制約される可能性がある」などと否定的な意見が相次いだ。

 これに加え、国会の法案審議では収容期間の上限を設けるか、収容手続きに司法審査を導入するか―なども論点となろう。人権を重視した制度改正とすべく、厳格すぎるとされる難民認定制度見直しも含め、丁寧に議論を進める必要がある。

 入管庁によると、2019年12月末時点で国外退去を命じられ、入管施設に収容されていた942人のうち649人は送還を拒否。収容期間を見ると、6カ月以上が462人に上り、3年以上が63人いた。また仮放免中は2217人で、その多くも送還を拒んだ。

 日本は不法就労や犯罪で摘発されるなどし在留資格のない外国人を原則全て収容する「全件収容主義」をとり、収容期間については法律に「送還可能のときまで」とあるだけで上限はない。難民認定申請や、強制送還の取り消しを求める訴訟をしている間、送還の手続きはいったん止まる。

 送還を逃れようと申請を乱用するケースが増え、収容長期化の要因になっているとされる。改正案は3回目以降の申請について、それまでと内容が変わらないなら送還手続きを停止しないとしている。さらに期限を定めて退去を命じ、応じない場合には罰則を科す。

 併せて監護措置のほか、難民に準じる「補完的保護対象者」として在留を認める制度などもつくる。とはいえ、国際社会の視線は厳しい。国連の恣意しい的拘束に関する作業部会は昨年8月、入管施設に通算で5年前後収容され、難民認定申請中の男性2人について、司法審査の機会を与えられず、恣意的拘禁に当たるとする意見を採択した。

 収容長期化や司法審査の欠如はたびたび指摘され、勧告が繰り返されてきた。収容は逮捕・起訴に伴う勾留と異なり、裁判所による審査は介在しない。だが自由を奪う以上、裁判所が収容の可否を判断する仕組みは必要だろう。欧州諸国のように収容期間に上限を設けることも検討したい。

 もともと他の先進国と比べ難民認定率は桁違いに低く、難民と認められずに在留資格のない人が増えれば、それだけ収容される人は増える。「準難民」を認めることに加え、認定制度の在り方見直しも求められよう。(共同通信・堤秀司)

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