佐賀市内で行われた偽の署名をするアルバイト。募集条件には「名簿を書き写すだけ」と書かれている(画像の一部を加工しています)

 愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る不正署名問題で、多数のアルバイトが佐賀県内で動員され、偽の署名を書き込んだことが明らかになった。会場の県青年会館(佐賀市)でアルバイトをした女性から「罪に問われないだろうか」という不安の声が佐賀新聞「こちら さがS編集局」に寄せられた。選挙管理委員会や専門家に話を聞いた。

 「パソコンで打ち込んだデータがあるのに、なぜ私たちが直筆で書かなければならないんだろう。隣の人とも『なんか変だね』という話をした」。昨年10月、手書きのアルバイトに参加した佐賀市の20代女性は、こう振り返った。女性はリコール運動を知らなかったといい「佐賀は単発のアルバイトが少ないので、つい応募した」と話した。

 佐賀県選管によると、署名は住所や生年月日は代筆やデータ入力が可能だが、押印と名前は自筆でなければならない。地方自治法では署名の偽造が禁じられており「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」となっている。

 署名簿を受け取った市町村の選管は、名簿に書かれた名前や生年月日が該当地域の選挙人名簿に登録されているどうかを一つずつ照合し、一致しない署名は無効にする。自筆でない署名も無効だ。

 行政法務に詳しい小澤尚記弁護士(愛知県)は今回の問題に関し「首長のリコールは民主主義の根幹の一つで、偽の署名は絶対にあってはならない」と話す。

 アルバイト従事者に対して罪が成立するかどうかについては「署名簿の見た目やスタッフの指示などから『偽造する』と認識できる状況だったかどうか」と指摘する。ただ「捜査の本筋は、偽の署名を作らせようとした首謀者」で、アルバイトは立件されない可能性もあると説明し「警察から任意の出頭や説明を求められたら、協力してもらう必要性はあるかもしれない」との見方を示した。

 愛知県選管は、提出された約43万5千人分の署名のうち、8割超に当たる約36万2千人分を無効と判断した。地方自治法違反の疑いで15日、容疑者不詳のまま愛知県警に刑事告発している。(松岡蒼大)

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