水稲の乾田直まき栽培に取り組む西山哲さん、和枝さん夫妻=伊万里市東山代町

 伊万里市山代町の西山哲さん(72)、和枝さん(70)夫妻は、干拓地や棚田で米作りをしている。就農から半世紀、常に心掛けたのは「時代に合わせて新しいことに挑戦すること」。5年前からは種の直まき方式での水稲栽培に取り組み、収量を落とさずに省力化することに成功した。

 就農当初3ヘクタールだった水田面積は、新しい機械や栽培技術の導入により現在10ヘクタールまで拡大している。ただ、それに伴い育苗や田植えの負担が重くなった。二人は「年齢のことも考えると省力化しかない」と考え、直まき栽培に取り組もうと決意した。

 直まきは「米作りで一番労力を使う」という育苗の作業が不要になる。ただ、県内では広く普及していなかった。哲さんは熊本県の農家を飛び込みで訪れて教えを請い、通い続けながら技術を学んだ。

 乾いた田に種をまく「乾田直まき」には、ジャンボタニシの食害を減らす効果もあった。雑草が増えるなどの課題はあるが、試行錯誤しながら技術を改良している。導入前後を比較すると、労働時間に加えて経費も削減できた。昨年から地域への普及を目指して勉強会を開いている。

 省力化は和枝さんの「自由な時間」を増やすことにもつながった。農業での女性の地位向上を目指して地域でリーダーシップを発揮してきた和枝さん。「女性が農作業や家事以外の時間を持つことは、これからの農業にとって大切なことです」と強調する。

 「ずっと働いてきて、そろそろゆっくりしたい気持ちもある」という二人。今回の受賞に哲さんは「地域の農業のため、もうちょっと頑張れということかな」と言って笑った。(青木宏文)

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