「君たちは東京オリンピックの年に生まれ…」。東京五輪が開かれた昭和39(1964)年度生まれの学年だから、入学式などの祝辞でよく言われた◆そういえば名前に聖火の「聖」がつく同級生が数人。「五輪男(いわお)」君もいる。とはいえ、五輪に出られるほどの身体能力は備わっていなかったようだ◆同学年のこの人はまさに「五輪の申し子」。辞任した東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗(よしろう)会長の後任にきのう18日、橋本聖子(せいこ)さん(56)が就任した。鍛え上げた脚力と精神力で夏冬合わせ7度五輪に出場。精根尽き果てるように倒れ込んだスケートのゴールシーンを思い出す。国会議員でもあるが、その経歴以上に適任と思う。だが、山積する課題を思うと簡単には引き受けられなかっただろう◆頼まれたら嫌と言えない人は多い。苦難の道と知りながら「火中の栗を拾う」人がいる。仕事ならまだしも、結構手間がかかる無報酬の役も頼まれれば快く引き受け、なり手がいなかったら「自分がやっていいよ」と手を挙げてくれる。そんな人たちに感謝しながらも、みんなが関わる社会でありたい◆苦しい時に踏ん張れたら、その先に待つ喜びをオリンピアンは知っている。新会長の船出を応援しよう。東京にきっと2度目の聖火をともしてくれる。新たな五輪の申し子の誕生も期待したい。(義)

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