高畑瑠美さんの遺体が車内で遺棄されていたとされる施設駐車場=福岡県太宰府市

 福岡県太宰府市で2019年10月、高畑瑠美さん=当時(36)=が暴行されて死亡し遺棄された事件で、傷害致死などの罪に問われた女性被告(42)と男性被告(25)=いずれも同市=の福岡地裁での裁判員裁判が19日に結審する。瑠美さんの身に何が起きていたのか―。公判から、その一端が浮かび上がった。

 瑠美さんと女性被告は遅くとも08年ごろ、瑠美さんの兄の借金返済をきっかけに知り合った。女性被告は瑠美さんとその夫に借金を肩代わりさせ、背後には暴力団関係者がいると信じ込ませていたという。

 女性被告は瑠美さんを連れ、18年3月ごろからホストクラブに通い始めた。「よくしゃべり、笑顔だった」。ホストクラブの男性は、当初の瑠美さんの印象をこう述べた。

 次第に、女性被告が瑠美さんのホストクラブでの未払い料金を肩代わりするようになった。この借金もあり、瑠美さんは女性被告に逆らえなくなっていったとみられる。2人の関係について女性被告の息子は「威圧的な態度で奴隷のような扱い」と証言した。

 亡くなる1カ月前の19年9月ごろ、瑠美さんは太宰府市内で両被告と同居を始めた。検察側は「瑠美さんは、入浴をさせてもらえなかったり、同じ洋服を毎日着用させられたりするなどして、支配下に置かれていった」などと主張した。

 この頃から、瑠美さんへの暴行は始まったとされる。検察側は、両被告がホストクラブ内で瑠美さんの顔を殴り、太ももを踏みつけ、家ではバタフライナイフで刺したり、木刀で殴ったりしたと指摘。暴行は瑠美さんが亡くなる直前まで繰り返されたとしている。

 19年10月20日早朝、瑠美さんは男性被告が運転する車の後部座席で亡くなったとみられている。公判では同乗していた男性が「自分の潔白を証明するため」と録音した車内の会話が再生された。「埋めるしかない」「死人に口なしやけんね」。女性被告は「免許証とか処分せんと。高畑瑠美ってばれたらだめ。親が絶対に『あいつが殺した』って訴えてくる」と話していた。

 死因は腰や左右太ももなどの打撲による外傷性ショック。司法解剖した医師は、体に防御したような傷痕もあったと説明した。

 瑠美さんは、ホストクラブの当時の店長に「ゼロに戻れるならやり直したい」と涙を流して訴え、自らの死を危惧していたという。ただ、女性被告は背後に暴力団関係者がいると話しており、複数の証言者は「自分たちに被害が及ぶかもしれず、警察に通報できなかった」と話した。

 公判で両被告は全面的に無罪を主張している。(取材班)

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