高校時代、散髪中に理髪店のお兄さんとバレンタインの話題になった。そのお兄さん、仕事帰りにふと甘い物が欲しくなり、行きつけの食品店でチョコレートを買った。自宅で食べながら、その日がバレンタインデーだったことに気づく。「もてない男が一人寂しくチョコを買っていったと、店員に笑われたのでは」というお話◆きょう14日はバレンタインデー。欧米では恋人同士で愛を祝う日で、花やカードなどを贈り合う。それをチョコに替え、「女性から告白できる日」とした日本の仕掛け人は「メリーチョコレートカムパニー」2代目社長の原邦生くにおさんだったといわれている◆その仕掛けに乗って、この日だけドキドキした男性は多いかも。人が人を好きになるのは自然な感情なのに、他人の恋路は気になる。はやしたり、はやしたてられたり、甘酸っぱい青春時代を思い出す人もいるだろう◆お菓子業界はさらに仕掛けを加える。義理チョコ、本命チョコがはやり、やがて「友チョコ」や「自分チョコ」も登場した。40年前、理髪店のお兄さんは「自分へのご褒美」という流行を先取りしただけ。きょうは家族から甘いお菓子をもらうはずだ◆人を幸せにする仕掛けだったら、その甘いわなに喜んではまりたいと思う。義理や本命、友に自分…。チョコに限らず、性差を超えて大切にしたい。(義)

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