今では薬局で手軽に購入して自分でできる妊娠反応ですが、昔は大変だったのです。

 妊婦の尿を雄のガマガエルに注射して数時間後にガマの尿中に精子が排せつされるマイニニ反応や、雌ウサギに注射して48時間後に卵巣で排卵しているかをみるフリードマン反応など、簡単には分かりませんでした。

 現在市販されている妊娠判定薬は、高感度でHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が25IU/Lで陽性に出ます。妊娠すると月経予定日くらい=妊娠4週0日=でもプラスになります。

 けれども正常に妊娠しているかどうかは分かりません。経腟エコーで子宮の中に胎嚢という赤ちゃんの袋が見えるのは妊娠5週頃なのです。

 妊娠反応が陽性だけれどエコーで胎嚢が見えない場合には3つの可能性があります。

 (1)週数が早くて胎嚢がまだ見えない時期だから。基礎体温をつけていれば、いつ排卵したのか、週数がどれくらいなのかを推定することができます。

 (2)妊娠反応は出たけれど、胎嚢を形成する前に流産してしまった化学的流産の場合。

 妊娠反応をしなければ「いつもより月経が遅れてきて出血が多かったかな」と思うだけかもしれません。

 (3)いちばん嫌なのが卵管など子宮の外に妊娠している場合、子宮外妊娠です。流産することもありますが、週数が進めば破裂して大量に出血し、命にかかわることもあります。

 この3つのどれなのかは時間が答えを出してくれます。言い換えれば時間が経たないと分かりません。最初に受診した医師が診断できず、次に受診したところで診断がつくのは時間の経過がヒントをくれるからです。「後医は名医」と言われるゆえんです。胎嚢が見えず、医師が子宮外妊娠の危険性を説明し過ぎて「HAPPYなはずの妊娠初期の幸せをブチ壊しにされた!」と恨まれたという話も聞きました。

 また、尿の濃度が薄いと妊娠反応は出にくくなりますし、排卵時には分泌されるLH(黄体化ホルモン)とHCGが似ているため陽性に出ることもあります。

 いずれにせよ、産婦人科を受診して正しく診断してもらうことが大切です。(伊万里市 内山産婦人科副院長、県産婦人科医会理事 内山倫子)

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