新型コロナウイルスの感染拡大で、佐賀県が飲食店などに出していた午後8時までの時短営業要請が8日に解除された。繁華街には明かりが戻りつつあるが、感染が長期化する中で臨時休業を何度も余儀なくされ、運転資金や蓄えが底をつきかけている店も多いようだ。コロナ禍の苦境を乗り越えてにぎわいを取り戻すための一歩を刻めるか、まさに正念場である。県などにはスピーディーできめこまやかな支援を求めたい。

 「飲食店はランチ利用がすごく多い店もあるが、私たちは仕事ができない状況だった。県などは一軒一軒店を回り、夜の街の現状をちゃんと把握してもらいたい」-。県が時短要請解除を決めた5日、佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)にはスナック経営者から切実な声が寄せられた。1月21日から2月7日までの18日間、一貫して時短要請に応じた店には一律72万円の協力金が支給されるが、営業時間を少し縮めた店も休業した店も同じ扱いになることに対する問題提起である。

 佐賀県内で新型コロナの感染者が初めて確認されたのは昨年の3月13日で、間もなく1年を迎える。正直、ここまで長引くと思っていなかった人も多いことだろう。不要不急の外出を控え、全国に緊急事態宣言が出された4、5月の苦境を乗り越えたが、感染は収束せず、第2波、第3波が押し寄せた。この間、その時々の飲食店主らの声を記者が聞いたが、少しの安堵(あんど)と落胆の繰り返しだった。「売り上げは前年の半分にも届かない」「開けてもお客が来ず、閉めたら借金が払えない」。県飲食業生活衛生同業組合の支部長会議ではこうした窮状が報告された。

 もちろん苦境にあるのは飲食店だけではない。飲食店への協力金支給が打ち出される中、酒類販売や運転代行など関連の仕事に携わる人からはため息が漏れた。「われわれにも目を向けてほしい」との声が上がった。

 県が8日に発表した2月補正予算案には、飲食店の時短営業で影響を受けたにもかかわらず、協力金の対象外になった幅広い事業者への応援金支給が盛り込まれた。昨年12月から3カ月間のいずれかの月の売り上げが前年比で半減した食材納入業者、タクシー、バス、観光業などに1事業者20万円、個人事業者は15万円を交付する。県議会は補正予算案のうち、新型コロナ関連は早期に予算執行できるよう繰り上げ採決することを申し合わせている。

 時短営業解禁初日となった8日、飲食店主らは早速訪れた常連客に「ありがたい」と感謝した。中小の店や事業者がつながって地域経済の根幹を支えている。コロナ前の状態には完全に戻らないとしても、日常を取り戻す努力をともに重ねたい。(杉原孝幸)

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