昨年の11月定例佐賀県議会で、新型コロナウイルス感染症への差別や偏見を戒める啓発事業として県執行部が提案し、議会が財源などを問題視して取りやめになった「誓いの鐘」設置に関し、山口祥義知事は8日、「今でも必要な予算だったと思っている」との見解を示した。ただ「議会に再提案して、鐘自体がやゆされるのは我慢ならない」と再提案は否定した。

 2月補正予算案の主な事業を発表した会見で言及した。山口知事は「議会の議論の中で否決されたのでやむを得ない」としつつ、「誹謗(ひぼう)中傷は全国的な問題で、あれからさらに議論されるようになった。誹謗中傷に苦しんでいる今だからこそ、強いメッセージになるのではないかとの思いは今でもある」と話した。

 誓いの鐘は、県が「ハンセン病患者への差別を二度と繰り返さない」との思いで2017年に国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(熊本県)へ寄贈した鐘と同じ鐘を佐賀県庁に設置する計画だった。新型コロナ対応の国の交付金を全額充てる予定だったことなどを情報番組が批判的に取り上げた。県議会の最大会派の自民党は設置を取りやめて経費を削減する修正案を提出、全会一致で可決された。

 山口知事は会見で「園とのやりとりの中で考えた純粋な事業」と振り返り、昨年の批判を念頭に「こういうふうに鐘の問題が取り扱われて無念でならない。再び提案して、鐘自体がやゆされるのは我慢ならない」と強調した。鐘に代わる誹謗中傷対策を予算に盛り込む考えがないか問われると、「なかなかアイデアが思い付かない」と答えた。(円田浩二)

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