短歌ムック『ねむらない樹』vol.6書影

 有田町の歌人・故笹井宏之さん(本名筒井宏之、享年26)を顕彰する短歌の新人賞「第3回笹井宏之賞」の発表を特集した短歌ムック『ねむらない樹』のvol.6(書肆侃侃房)が出版された。連載「笹井宏之への旅」は、笹井さんの父・筒井孝司さんと歌人の笹公人さんが文章を寄せる。

 大賞に輝いた乾遥香さん(東京都出身)の「夢のあとさき」から「わたしがいたことしか覚えていないというその夢のわたしに任せよう」など50首のほか、個人賞5人の全作品を掲載。最終候補33人の作品も10首ずつ紹介する。選考委員の大森静佳さんら5人が応募作を評価する選考座談会の様子も詳報する。

 筒井さんは連載で、自宅の環境やペットの猫、宏之さんが愛読した歌人穂村弘さんのエピソードに触れる。宏之さんが歌集『ひとさらい』のあとがきに記した「短歌は道であり、扉であり、ぼくとその周囲を異化する鍵です」という言葉も紹介した。

 笹さんは、笹井さんの作品「天井と私のあいだを一本の各駅停車が往復する夜」(同書)を取り上げる。歌人で文化功労者の岡井隆さんが笹井さんを「ひさびさに出てきた全方向性を持った歌人」と評したことを振り返った。(花木芙美)

 ▼『ねむらない樹』vol.6(書肆侃侃房)はA5判208ページ、税別1500円。

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