空き家になり、倒壊の恐れがあった長屋。一部の所有者は特定に至らず、多久市が昨年11月に解体した=多久市内

 自治体による空き家の所有者特定の効率化と負担軽減に向け、佐賀県は住民基本台帳法施行条例の改正を検討している。照会元と照会先がどちらも県内の市町であれば、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を使って関係者の住民票情報を照会できるようにして、郵送による公用請求の手間を省く。2月18日開会予定の定例県議会に改正案を提出する。

 改正案では、空き家の所有者らを把握する目的で、関係者の名前や生年月日、住所、健在かどうかを含む住民票情報が照会できる。県内市町の担当者は専用端末から確認できる。県外の市町村への照会は従来通り公用請求になる。

 空き家を巡る相続問題では、所有者が既に死亡し、相続登記もしていない場合、所有権が複数の親族にまたがるケースがある。市町は所有者らに適正な管理を促すため、登記簿や関係者の戸籍、住民票などの情報からたどっていくが、他の自治体への公用請求は県内なら1回につき1週間、県外は2週間程度かかり、全体の特定まで数カ月から1年を要することもあるという。

 佐賀市によると、空き家に関する住民票情報や戸籍情報の公用請求は、年間140件程度。県内市町に住民票情報を求めるのはこの1割ほどで、この部分は条例改正で効率化されるとみている。市の担当者は「活用できるのは限定されたケースだが、一歩前進」と評価する。

 県は昨年10月から市町に意向を確認し、条例改正の検討を重ねてきた。市町支援課は「空き家の適正管理で、非常に大きな労力がかかっている。住基ネットの活用で負担軽減につなげたい」と話す。(円田浩二)

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