57・48%と投票率の最低記録を更新した唐津市長選の開票作業=31日夜、市文化体育館

 コロナ禍の選挙戦となった唐津市長選は、無所属現職の峰達郎氏(60)が元市議で無所属新人の宮崎千鶴氏(66)を大差で破り、再選を決めた。2期目は、12万人を切った人口の減少対策やコロナの影響で疲弊が加速した地域経済の立て直しなど山積する課題に取り組むことになる。持続可能な地域を目指していくために、具体策を明示して市民の理解を得ながら前進を図る必要がある。

 昨年12月から唐津市内でも新型コロナの感染者が連日のように確認され、選挙戦は人が集まる機会がほとんどなく、握手戦術もままならなかった。同時に実施された市議選の候補者も、いつものようには手応えを感じにくい状態だった。SNSを活用した運動を展開する候補もいたが、政党、組織や地域代表の意識が根強い風土の中では、その影響力は限定的だったとみられる。

 候補者が政策や主張を述べる機会が少なかったこともあり、原発問題を含め、論戦が低調だったことは残念である。そのことも影響してか、投票率は前回を5・85ポイント下回る57・48%にとどまった。市政への関心を高め、1票を投じる意義をどう広めていくか、コロナ禍で制約を受けた選挙運動のあり方も含め論議が求められる。

 峰氏は投票者の4分の3を占める4万2千票余りの得票を得た。一方で相手候補に1万3千票近くが入った。白票が759票と前回より200票以上多かったことや、投票者に動向を尋ねた佐賀新聞社の出口調査では「他に選択肢がなかった」という声も聞かれた。積極的な支持ばかりではないことは意識したい。

 峰氏自身も当選翌日の報道各社によるインタビューで、白票は不信任の意味にも取れるとの認識を示し、発信力を強めて分かりやすい説明に努めていく考えを述べている。市職員総数の削減といった行財政改革や公共施設再編に力を入れていくことも強調した。市民にも痛みを求める施策では、中心部との格差が広がらないか周辺部への目配りが重要となる。より丁寧な説明と理解を得て進めていく姿勢が欠かせない。

 前回より定数2減の28議席を33人で争った市議選では、新人は3千票を超えるトップ当選をはじめ5人が議員の座をつかんだ。30代の2人や保守系無所属の女性議員誕生が議会に新風を吹き込み、活性化させていくか注目される。

 選挙戦を通じて候補者は各地域を回り市民の声に耳を傾けて、実情や問題点を把握したことだろう。地域衰退の背景に、市民と市役所の意識のずれはないか。負託に応えるためには、その声をより市政に反映させていく努力が問われる。コロナ時代を迎え、前例踏襲ではなく、創造し柔軟に対応できる自治体を築けるか。市民の目線はその成否にも注がれる。(辻村圭介)

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