試験問題の和訳

 佐賀県内の高校生を対象に1月上旬に実施した県下一斉模擬試験(県模試)で、1年の英語の設問に、貧困やイスラム教とテロリストを結びつけるような表現があり、読者から出題を疑問視する声が佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)に寄せられた。設問を読み、作問の経緯などについて関係者に話を聞いた。

 疑問の声があったのは、英語の文章を読み解く設問。文章は高校生の作文で、エジプト旅行の体験談として、しつこく絵はがきを売る子どもらに疑問を持ち、父親に理由を尋ねる場面がある。父親は「稼ぐことができなかったら、食べ物を求めてモスクに行き、テロリストになる」と答えていた。

 このほか、イスラム教とテロリストを結びつけたり、エジプトと英国で貧富の差を象徴させたりするような表現もあった。文章全体としては、旅行の実体験などを基に、高校生は「困っている人を助けたい」と決意し、貧困や戦争のない社会を願っている。

 こちさがには、受験した生徒の知人から「偏見が感じられる文章があった。配慮に欠けているのでは」との指摘があった。

 県模試は県高校教育研究会進学指導部会が実施。部会によると、問題の作成は担当校に一任されており、複数の英語教員がチェックを含めて携わった。設問の文章は全国の高校生を対象にした英作文コンテストで過去に表彰された作品を引用した。他校の英語教員数人も確認していた。

 県模試の実施後、感想や反省点を共有する中で、3校から「高校生が宗教とテロリストを結びつけて考えてしまうのでは」といった指摘があったという。

 部会長の渡邊成樹佐賀西高校長は「偏見を助長する可能性がある文章だという問題を、チェック段階で拾えなかった」と話し、不適切だったとの認識を示した。再発防止策について「各教科の担当と共有し、チェック体制も検討したい」と述べ、受験した生徒に対しては人権に関して事後指導するとしている。

 今回の設問について県教育委員会は、特定の宗教に誤った認識や偏見を持つ恐れがあるとして、再発防止を促す通知を県立中高38校に送った。模試を実施した私立高と20市町の教育委員会にも報告した。

 県模試は、生徒の学力や教職員の作問力向上などを目的に、年2回実施。今回は1月上旬に県内24校で行い、1年生は約3100人が受験した。(森田夏穂)

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