パーキンソン病患者の卓球世界大会を目指し、練習に励んでいる大曲和子さん=鳥栖市桜町の鳥栖卓球センター

 佐賀県鳥栖市田代外町の大曲和子さん(70)がパーキンソン病と闘いながら卓球の世界大会を目指している。パーキンソン病は手足の震えや筋肉のこわばりなど運動機能に障害が現れる難病で対症療法しかないが、卓球は症状改善に良いとされ、大曲さんも病気のことを忘れて打ち込んでいる。大曲さんの挑戦を知った佐賀や福岡の患者たちとの練習会が始まり、仲間の輪も支えに一歩ずつ前に進んでいる。

 大曲さんは5、6年前から症状が出始め、2018年2月に診断を受けた。インターネットで調べるうちに19年に米国で開かれたパーキンソン病患者の世界卓球選手権で銅メダルを獲得した滋賀県の医師とSNSで知り合い、卓球を勧められた。自宅近くに鳥栖卓球センターを見つけ、昨年4月にラケットとシューズを注文。卓球センターの岡本篤郎代表(51)に「世界大会を目指しています」と伝えた。

 昨年5月、歩くのがやっとの状況で卓球を始めた。練習を始めると驚く変化が出てきた。気付くと足の震えは止まっていた。「夢中になるのがいいのか、私たちの間では『卓球マジック』と呼んでいます」。

 話を聞き付け、昨年11月に4人、12月には6人の患者と一緒に練習が実現した。岡本代表も「両腕でつえをついて来た方が、卓球中は小走りに球を拾いに行く」と驚きを隠さない。

 大曲さんが下半身を鍛えようといすに手を置いて片足跳びも始めたところ、走ったり、反復横跳びができるようになった。マッサージしても効果が続かなかった大曲さんは「自分でほぐす運動をするしかない」と気付き、ストレッチからトレーニングを始めたという。

 硬かった体も手のひらが床に着くようになり、1回もできなかった腕立て伏せも10回以上に。片足上げ50回、スクワット50回…。メニューと回数を増やし、今は20項目に毎日2時間かける。「私にできるのだから誰でもできます。でもいっぺんには無理。ちょっとずつ」。壮絶な努力を穏やかに語る。

 卓球も週2回通ううちにラリーが100回続くようになった。腕を上げるほどに「世界大会に出るには、まだまだ基本的なことを身に付けないと」と上を向く。

 さらに、同じ患者たちとの練習会でも刺激を受けた。「一人一人症状が違う病気なので、話をすると勉強になるし、頑張る姿に励まされる」と大曲さん。「いつの世界大会になるのかは分らないけど、出たいと思います」と力強く語った。(樋渡光憲)

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