「地域の歴史を知る手掛かりになれば」と話す川副正文さん=小城市牛津町

 南北朝時代の武将で、室町幕府によって九州に派遣され、現在の小城市牛津町に一時居住したとされる今川了りょう俊しゅんの生涯を記した冊子が完成した。小城郷土史研究会副会長の川副正文さん(76)=牛津町=が当時の時代背景とともに、A4判30ページにまとめた。

 今川は父の後を継いで幕府の要職を務め、1371(建徳2)年に九州を統制する「探題」に就いた。各地を転戦しながら有力豪族を制圧し、牛津町やみやき町、武雄市にも拠点となる館や山城を築いたという。

 幼い頃から和歌を学び、歌人としても活躍した。冊子では、京都から九州までの約10カ月の道中で今川が詠んだ歌を紹介。行く末を案じ、命のはかなさを歌ったものもあり、川副さんは「激しい戦で死ぬかも知れないという覚悟がにじむ」と推し量っている。

 今川が探題の職を解かれ、京都に帰ったのは1395(応永2)年。その後も孫たちが領域を受け継ぎ、後に姓を「持もち永なが」に変えた子孫が牛津町に残る。江戸時代の家系図には、統制機関の探題府が牛津町に置かれていたことを示す記述もあるが、確実な史料は見つかっていないという。

 「今川了俊の研究」(荒木尚著)によると、今川は1420(応永27)年、94歳で没した。川副さんは「没後600年の節目に、動乱の時代を生きた歴史上の人物が身近な地域にいたという記録を残したかった」と話す。

 冊子は1部500円。小城市立歴史資料館で購入できる。問い合わせは川副さん、電話0952(66)0319。(谷口大輔)

 

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