新型コロナ治療の最後の切り札とされるエクモ=佐賀大医学部附属病院(中山賢人医師撮影)

エクモの仕組みや機能を説明する佐賀大医学部附属病院高度救命救急センターの中山賢人医師=佐賀市の同病院

 新型コロナウイルス感染症で、重い肺炎になった患者に使われる人工心肺装置「ECMO(エクモ)」。佐賀県によると、県内には昨年10月時点で13台あるが、21日までに新型コロナ関連の県内での稼働は報告されていない。ただ、全国的に重症者は増えており、治療の「最後の切り札」として必要性は高まっている。

 エクモについて、佐賀県を含む九州・沖縄8県と山口県は昨年12月、医療機関が広域で利用できるように連携する協定を結んでいる。感染拡大が続く中、エクモの仕組みや役割を知りたいという声が佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)に寄せられた。

 エクモは肺の機能を代替する装置で、首の静脈から血液を取り込み、二酸化炭素を取り除いて酸素を加え、足の静脈に戻す。保有する佐賀大医学部附属病院高度救命救急センターの中山賢人医師(31)によると、全国では重症者に使用しており、7割以上が回復につながっている。圧力を加えて濃度を高めた酸素を送る人工呼吸器と比べ、肺を休ませながら治療につなげる利点があるという。

 患者に装着するときは、医師と看護師、機器運用のスペシャリストの臨床工学技士ら計10人ほどでかかる。医師には、血流を止めないように血管の太さに合わせた管を血管に通すスピードと正確性、機器自体への知識など、高度な専門性と技術の習熟が求められる。

 運用に当たっては、24時間態勢で見守りや酸素の消費量などのチェックが必要になる。患者の姿勢を変えるときには、少なくとも7人の看護師のほか、機器の監視などの人手もいる。中山医師は「技能を持った医師や看護師ら必要な人員が多い。大きな病院でないと運用は難しい」とみる。

 重症者の治療の「最後の切り札」として期待されるエクモだが、管などを体内に入れるため、高齢者や持病がある人には感染症のリスクがある。新型コロナの患者は血栓ができやすくなることもあり、使う際には慎重な検討が必要になる。

 佐賀大医学部附属病院ではこれまで、エクモの運用は年間数例だった。中山医師は以前から関心を持っており、昨年12月には福岡大病院エクモセンターで1カ月研修、現場で実際の措置などの研鑽けんさんを積んだ。今も時間を見つけて手技のトレーニングを続けるなど、技術の維持向上に余念がない。「呼吸器不全が重症化した人への効果は大きい。治療の切り札として、運用には万全を期したい」と話す。(石黒孝)

「こちら さがS編集局(こちさが)」とは?

佐賀新聞と読者が無料通信アプリ「LINE(ライン)」でつながり、書き込みがあった身近な疑問や困りごとを記者が取材する双方向型の報道スタイルです。

以下のボタンから「友だち追加」して情報提供のメッセージやアンケート(随時実施)へのご協力をお願いします。

友だち追加
このエントリーをはてなブックマークに追加