東京五輪・パラリンピックの「ホストタウン」になっている自治体が、新型コロナウイルスの対応に頭を悩ませている。佐賀県内は6カ国のホストタウンを務める予定だが、選手との接触を避けるため交流は限定的になる見通し。国は、感染防止対策をまとめたマニュアルを作って相手国と合意書を交わすよう求めており、受け入れ自治体が対応に追われている。

 1年延期された東京五輪は7月23日に開会式があり、東京パラリンピックは8月24日から始まる。県内では県と佐賀、唐津、嬉野市がオランダやニュージーランド、フィジーなどのホストタウンとして登録されている。このうちフィジーを除く5カ国は県内で事前合宿をすることになっていた。視察などができないため、県は相手国とメールでやりとりを続けている。

 新型コロナの感染拡大を受けて国は、ホストタウンの自治体向けの指針をまとめている。選手らとの接触が生じない形態が原則とされ、県スポーツ課はマニュアルの作成を進めているが、食事などで専用の個室を準備する必要があるため、受け入れる県の事業費は当初よりも増える見通しだ。県によると、感染対策にかかる事業費に関しては、国の交付金の活用が計画されているという。

 公開練習や学校訪問の交流は見直さざるを得なくなった。県スポーツ課は「見学エリアを設け、密にならないように遠目で見てもらう」と話す。インターネットでのオンライン交流も検討しているが「せっかく佐賀県を訪れるのに」と複雑な心境ものぞかせる。

 3人制バスケットボールのセルビア代表が事前合宿を計画する唐津市では、バスケットボール大会や選手とのバーベキューなどの交流が予定されていた。ただ、3人制バスケのプロチーム「カラツレオブラックス」を運営するマッシヴドライヴは「あるかどうか分からない」と戸惑う。

 唐津市は2020年2月に事前キャンプの準備に向けた協議会を設立。当初予算では、交流費などとして約200万円を計上したが、使用実績はまだない。

 佐賀市はフィンランドなど3カ国を受け入れる。交流について市スポーツ振興課は「感染が広がる今の状況ではやるとはいえない」との認識を示す。その上で「事前合宿と大会が無事に成功するのが最も大事で、交流事業で選手に感染させてはいけない」と気遣う。
 嬉野市はオランダの空手道代表を受け入れる計画だが、大会に出場するかどうか決まっておらず、市文化・スポーツ振興課は「宿泊や練習、観客の導線などを考えておきたい」と話す。

 事前キャンプは早くて7月上旬からだが、都市圏で1月に緊急事態宣言が出されたばかりで先行きは見通せない。県スポーツ課は「さまざまな仕掛けができにくい状況だが、できる準備を粛々と進めたい」とし、選手らが感染した場合の検査や医療態勢も検討している。(岩本大志、中村健人、大田浩司、松田美紀)

このエントリーをはてなブックマークに追加