鳥栖―清水 前半39分、先制点を挙げたFW豊田(右から3人目)と喜びを分かち合うDF呂成海(中央)ら鳥栖イレブン=佐賀市の県総合運動場陸上競技場(撮影・山田宏一郎)

完全移籍が決まった呂成海。試合終了後にファンと握手を交わした=佐賀市の県総合運動場

 Jリーグ・ヤマザキナビスコ・カップ1次リーグ第6節は28日、佐賀市の県総合運動場陸上競技場などで6試合が行われ、A組のサガン鳥栖は清水エスパルスを2-0で破った。通算成績は2勝3敗(勝ち点6)で、前節の6位から5位に浮上。各グループ上位2チームが進む決勝トーナメント進出に望みをつないだ。

 A組首位のG大阪は仙台に0-1で敗れ、勝ち点12で全6試合を終えた。神戸は鹿島に3-0で快勝し、2位清水とともに勝ち点9とした。

 B組の浦和は梅崎の決勝点で甲府を2-1で下し、勝ち点12として同組2位以内が確定し準々決勝進出を決めた。名古屋は柏に1-0で競り勝ち、全日程を終えた2位甲府に勝ち点10で並んだ。

 最終節は6月1日、6試合が行われ、鳥栖は東京都の味の素スタジアムで午後3時からFC東京と対戦する。

〈鳥栖2-0清水〉

 鳥栖はFW豊田、MF水沼が挙げた2点を危なげなく守り抜いた。

 前半、鳥栖はMF金民友(キム・ミヌ)が相手最終ラインの裏へ何度も抜け出し、攻撃のリズムをつくった。20分すぎにはFW早坂、FW豊田と連続して決定機を迎えたがゴールを奪えず。相手の素早いカウンターはGK林の好セーブなどで阻止。すると39分、MF藤田のCKをファーサイドで拾ったDF菊地がゴール前へ送ると、FW豊田が相手GKの前で触り先制。1-0で前半を折り返した。

 後半立ち上がりにカウンターから相手FW大前にドリブルで持ち込まれたが、菊地が体を張った守備でブロック。出足で上回る鳥栖は徐々に流れをつかみ、MF藤田、金民友らが相手ゴールを脅かした。迎えた31分、MF水沼がミドルシュートをたたき込み追加点。守備陣は相手に攻撃の形をつくらせず、無失点に抑えた。

▽佐賀県総合運動場陸上競技場

観衆 5231人

(鳥栖2勝3敗)

  鳥 栖2 1-01-0 0  清 水 

勝ち点6勝ち点9

 ▽得点経過

前39分【鳥】1-0 豊 田(1)

後31分【鳥】2-0 水 沼(1)

GKDFMFFW0林  彰洋   櫛引 政敏0

0丹羽 竜平   ヤコビッチ0

1菊地 直哉   平岡 康裕0

1呂 成 海   ヨンアピン0

1安田 理大   吉田  豊0

3水沼 宏太   河井 陽介0

1岡本 知剛   竹内  涼0

0藤田 直之   六平 光成1

0金 民 友   大前 元紀1

1早坂 良太   ノバコビッ3

2豊田 陽平   高木 俊幸2

13SH7

6CK3

9FK16

0PK0

 ▽交代(末尾の数字はSH数)

【鳥】後32分 金民友→平1

   後40分 早坂→播戸0

   後45分 水沼→清武2

【清】後13分 河井→村田0

   後13分 竹内→杉山0

 ▽警告

【清】ノバコビッチ

=ハイライト=

 「ソンヘを勝って送り出す」-。エースFW豊田の先制点は同期加入・DF呂成海(ヨ・ソンヘ)への“ホーム”惜別弾。豊田は「ソンヘとはパス練習をずっと2人でやってきた。ゴールという形で送り出すことができてよかった」と胸を張った。

 韓国・Kリーグへの移籍が決まった呂への強い思いを胸に、イレブンはゲームに臨んだ。「得点を取りたい」と相手DFの背後を突き続けたMF金民友(キム・ミヌ)、中盤での素早い寄せで相手の攻撃の芽を摘んだ主将のMF藤田、献身的なプレーで勝利に貢献したDF丹羽とMF早坂。「このチームがJ1でプレーできているのはソンヘのおかげ。絶対に白星をつかみたい」(藤田)と、豊田を含めた同期メンバーから並々ならぬ闘志が感じ取れた。

 前半39分。藤田のCKをファーサイドで折り返したのは、センターバックで呂とコンビを組むDF菊地。「来てほしいタイミングでキクさん(菊地)からボールが来た」。豊田は左足で鮮やかな先制ゴールを押し込むと、両手で呂の背番号「20」を形作って喜びを爆発。「佐賀でともに成長してきた。別れのつらさはあるけど、快く送り出せる」と呂を思いやった。

 この日の勝利は、チームにとって、1次リーグ突破の可能性を残す大きな1勝にもなった。「次の最終節・FC東京戦がソンヘとともに戦う最後の試合。勝って気持ちよく送り出し、チームとしても後半戦に向けていい形で締めたい」と藤田。チーム一丸となり、決勝トーナメント進出を勝ち取る。

〈「呂コール」に目頭熱く〉

 ○…韓国・Kリーグの慶南FCへの完全移籍が決まったDF呂成海(ヨ・ソンヘ)がホームラストゲームで無失点勝利に貢献した。呂は「チームメートに感謝するばかり。とにかくファンに勝利をプレゼントしたかった」と目頭を熱くした。

 2010年、韓国・漢陽大からJ2鳥栖に加入。対人に強いセンターバックとしてJ2、J1合わせて138試合に出場した。「何よりも印象的な1年」と話すのは、悲願のJ1昇格を果たした11年シーズン。昨季はクラブ史上初の天皇杯4強入りの立役者となり、タイトルを目指すチームに不可欠な存在にまで成長した。選手生命に関わる大けがも経験したが、呂は「1試合1試合、思い出の詰まった試合ばかり」と在籍4年半を振り返った。

 兵役を控えて決断した移籍。兵役期間中もプレーを続けるためには一定期間、Kリーグのクラブに所属することが求められる。試合後に行われた退団セレモニーで、呂はサポーターに対し「シーズン途中で移籍することになり申し訳ない」。事情を知る多くのサポーターから惜しみない拍手がわき起こった。呂が最後に「サガン鳥栖愛してます」と日本語で感謝を示すと、スタジアムはこの日一番の“ヨ・ソンヘコール”で包まれた。

 セレモニー後、ともに戦ってきたチームメートから胴上げのサプライズも。呂は「必ずタイトルを取ってほしい。僕も成長した姿を見せる」と“ファミリー”にホームで別れを告げ、ラスト1戦へ前を向いた。

〈一番すてきな試合〉

 鳥栖・尹晶煥監督 わたしが鳥栖に来て、一番すてきな試合だった。成長した姿を見せてくれてうれしい。冷静沈着に相手を掌握していた。

〈決めきれなかった〉

 ○…清水は勝っていれば1次リーグ突破の可能性があった。ゴトビ監督は「特に最初の30分が非常にスローだった。いいチャンスはあったが、決めきれなかった」と嘆いた。

 序盤から鳥栖に主導権を握られ、前半39分に豊田に先制点を許した。CKを折り返された際にマークがずれ、「セットプレーの守備が雑」と監督。攻撃ではノバコビッチらがカウンターから好機を迎えたが、最後の精度を欠いた。指揮官は「ポジティブなところは少ない」と自嘲気味に話した。

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