西念寺

 みやき町市武に、少弐氏の横岳資貞が永正15(1518)年に開基した浄土宗の古刹(こさつ)、安養山西念寺がある。

 山門の二層部に鐘楼を配し、三猿などの華麗な彫刻類が施され、古くより一日見ていても飽きない「肥前国 東目の日暮らしの門」と呼ばれた珍しい二重構造の鐘楼門で、くぎ1本も使わずに建立した築215年の歴史遺産である。

 ここ江見地区は、古地図で筑後川の本流だった江見川(切通川)の港で百石船が往来する物資集積場であり、商店や宿屋、製造業など百数十戸が立ち並ぶ川港として栄え、辻々に多くの恵比須像が祭られている。

 鐘楼門も目撃した明治7(1874)年2月、佐賀の乱で佐賀軍と政府軍の攻防戦が繰り広げられた地域である。

 軒先すれすれに定期バスが通った家並みは昭和の雰囲気を残す。現在は県道から少し奥まった場所で、先人たちの営みや苦節を静かに語り継ぐ異空間である。

絵 水田哲夫=鳥栖市本町

文 太田家良明=みやき町白壁

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