22日発効の核兵器禁止条約の全文は次の通り。

 【前文】

 本条約の締約国は、

 国連憲章の目的と原則の実現に貢献することを決意する。

 核兵器のあらゆる使用によって引き起こされる壊滅的な人道上の結末を深く懸念し、核兵器を全廃する必要があると認識する。全廃こそが、いかなる状況でも核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法である。

 事故や誤算によって引き起こされたり、意図的に起こされたりした核兵器の爆発を含め、核兵器が存在し続けることで生じる危険性に留意する。こうした危険性は全人類の安全保障に関わり、全ての国が核兵器のあらゆる使用の防止に向けた責任を共有していることを強調する。

 核兵器の壊滅的な結末は十分に対処することができず、国境を越え、人類の生存や環境、社会経済の開発、地球規模の経済、食料安全保障および現在と将来の世代の健康に重大な影響を及ぼし、電離放射線の結果によるものを含め、女子にとりわけ大きな影響を与えることを認識する。

 核軍縮は倫理的に必要不可欠だと認め、国家安全保障と集団安全保障の利益にかなう最上位の国際的公益である核兵器のない世界を実現し、維持する緊急性を認識する。

 核兵器の使用による被害者(ヒバクシャ)と核実験によって影響を受けた人々にもたらされた受け入れ難い苦しみと危害に留意する。

 核兵器に関わる活動が先住民に与えたとりわけ大きな影響を認識する。

 全ての国は国際人道法や国際人権法を含め、適用可能な国際法を常に順守する必要があることを再確認する。

 国際人道法の原則や規則に従う。とりわけ武力紛争の当事者が戦時において取り得る方法や手段の権利は無制限ではないという原則や、区別の規則、無差別攻撃の禁止、攻撃における均衡性と予防措置の規則、過度な負傷や不要な苦痛を引き起こす兵器使用の禁止、自然保護の規則にのっとる。

 核兵器のいかなる使用も、武力紛争に適用可能な国際法の規則、とりわけ国際人道法の原則と規則に反していることを考慮する。

 核兵器のいかなる使用も人道の原則や市民の良心に反することを再確認する。

 各国は国連憲章にのっとり、国際関係上いかなる国の領土保全や政治的独立に対しても、国連の目的に沿わない方法での武力による威嚇や、武力の行使は慎まなくてはならないということを想起する。世界の人的、経済的資源を軍備に極力回さないことが、国際平和と安全の確立と維持につながることを想起する。

 1946年1月24日に採択された国連総会の最初の決議と、核兵器の廃棄を求めるその後の決議を想起する。

 核軍縮の進行の遅さに加え、軍事および安全保障上の概念、ドクトリン、政策で核兵器への依存が継続していること、ならびに核兵器の生産や維持、近代化の計画による経済的、人的資源の浪費を懸念する。

 法的拘束力を持つ核兵器の禁止は、不可逆的かつ検証可能で透明性のある核兵器廃絶を含んでおり、核兵器のない世界の実現と維持に大きく寄与すると認識し、その目的に向けて行動することを決意する。

 厳密で効果的な国際管理の下、全面的かつ完全な軍縮に向けた効果的な進展の実現に向けて行動することを決意する。

 厳密で効果的な国際管理の下、全ての側面で核軍縮をもたらす交渉を誠実に追求し、終わらせる義務があることを再確認する。

 核軍縮と不拡散体制の礎石である核拡散防止条約(NPT)の完全かつ効果的な履行が、国際平和と安全を促進する上で極めて重要であると再確認する。

 包括的核実験禁止条約(CTBT)とその検証体制が核軍縮と不拡散体制の中核的な要素として、極めて重要であることを認識する。

 関係地域の国々の任意の取り決めに基づく、国際的に認知された非核兵器地帯の創設は、世界的、地域的な平和と安全を強固なものとし、核不拡散体制を強化、核軍縮の目標実現に寄与するとの確信を再確認する。

 本条約は、締約国が差別なく平和目的での核エネルギーの研究と生産、使用を進めるとの奪うことができない権利に悪影響を及ぼすと解釈してはならないと強調する。

 平等かつ完全で効果的な女性と男性双方の参加は持続可能な平和と安全の促進・達成に欠かせない要素であると認識し、核軍縮における女性の効果的な参加の支持と強化に取り組む。

 全ての側面において平和と軍縮教育は重要であり、現代、将来世代に対する核兵器の危険性と結末への意識を高めることも重要だと認識する。本条約の原則と規範の普及に向けて取り組む。

 核兵器廃絶への呼び掛けでも明らかなように、人道の原則を推進する市民の良心が果たす役割を強調する。国連や国際赤十字・赤新月運動、その他の国際・地域の機構、非政府組織、宗教指導者、国会議員、学界ならびにヒバクシャによる目標達成への努力を認識する。

 次の通り合意した。

 【本文】

 ▽第1条(禁止)

 一、締約国はいかなる状況においても次のことを実施しない。

 (a)核兵器やその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、または獲得、保有、貯蔵。

 (b)核兵器やその他の核爆発装置、またはその管理を直接的もしくは間接的に、誰かに移譲すること。

 (c)核兵器やその他の核爆発装置、またはその管理を直接的もしくは間接的に受領すること。

 (d)核兵器やその他の核爆発装置の使用と、使用するとの威嚇。

 (e)本条約が締約国に対して禁じている活動をするよう誰かを援助、奨励、勧誘すること。

 (f)本条約が締約国に対して禁じている活動をするため、誰かに援助を求めたり、援助を受けたりすること。

 (g)領内または管轄・管理地域に、核兵器やその他の核爆発装置を配備、設置または展開することを容認すること。

 ▽第2条(申告)

 一、締約各国は本条約が発効してから30日以内に国連事務総長に対し次の申告を提出する。

 (a)本条約の発効前に、核兵器や核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうか、核兵器計画を廃棄したかどうかを申告する(全ての核兵器関連施設の廃棄または不可逆的な転換を含む)。

 (b)第1条(a)にかかわらず、核兵器や核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうかを申告する。

 (c)第1条(g)にかかわらず、領内または管轄・支配地域に、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置があるかどうかを申告する。

 二、国連事務総長は受領した全ての申告を締約諸国に送付する。

 ▽第3条(保障措置)

 一、第4条の一項、二項に当てはまらない各締約国は少なくとも、本条約が発効した段階で効力を有する国際原子力機関(IAEA)の保障措置の義務を守る。ただし、当該締約国が将来追加的な関連文書を採択することを妨げない。

 二、第4条の一項、二項に当てはまらず、IAEAと包括的保障措置協定を締結していない締約国は、同協定を締結し、発効させる。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始しなくてはならない。その締約国の本条約発効から18カ月以内に協定が発効するものとする。従って各締約国はその義務を守る。ただし、当該締約国が将来追加的な関連文書を採択することを妨げない。

 ▽第4条(核兵器の全廃に向けて)

 一、2017年7月7日以降に核兵器や核爆発装置を所有、保有、管理した締約国で、本条約が自国に発効する前に核兵器計画を廃棄(全ての核兵器関連施設の廃棄または不可逆的な転換を含む)した国は、核兵器計画の不可逆的な廃止を検証するため、第4条の六項で指定する法的権限のある国際機関と協力する。その機関は締約諸国に報告する。その締約国は申告済みの核物質が平和的な原子力活動から転用されていないことや、その国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、IAEAと保障措置協定を締結する。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始する。その締約国の本条約発効から18カ月以内に協定が発効する。各締約国は少なくともその義務を守る。ただし、当該締約国が将来追加的な関連文書を採択することを妨げない。

 二、第1条(a)にもかかわらず、核兵器やその他の核爆発装置を所有、保有、管理する締約国は、それらを直ちに運用状態から撤去し、破壊する。これは、全ての核兵器関連施設の廃棄または不可逆的な転換を含め、検証可能かつ不可逆的な核兵器計画廃棄のため、法的拘束力があり時間を区切った計画に沿ってできるだけ速やかに、ただ第1回締約国会議で決めた締め切りより遅れてはならない。その締約国は本条約がその国で発効してから60日以内に、本計画を締約諸国や締約諸国が指定した法的権限のある国際機関に提出する。本計画は法的権限のある国際機関と協議される。国際機関は手続き規則に従って承認を得るため、その後の締約国会議か再検討会議かいずれか早い方に本計画を提出する。

 三、上記二項に当てはまる締約国は、申告済みの核物質が平和的な原子力活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、IAEAと保障措置協定を締結する。協定の交渉は二項で言及した本計画の履行が完了する日までに開始する。協定は交渉開始から18カ月以内に発効する。従って各締約国は少なくともその義務を守る。ただし、当該締約国が将来追加的な関連文書を採択することを妨げない。三項で言及された協定の発効後、その締約国は国連事務総長に第4条での義務を遂行したとの申告を提出する。

 四、第1条(b)(g)にもかかわらず、領内または管轄・支配地域に、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置がある締約国は、それら兵器についてできるだけ速やかに、ただ第1回締約国会議で決めた締め切りより遅れることなく、迅速な撤去を確実にする。そうした兵器や爆発装置の撤去に関し、締約国は国連事務総長に第4条の義務を遂行したとの申告を提出する。

 五、第4条が当てはまる締約国は、第4条での義務履行を遂行するまで、締約国会議と再検討会議に進展状況の報告書を提出する。

 六、全締約国は核兵器計画の不可逆的な廃棄についての交渉や検証をするための、法的権限のある国際機関を指定する。検証は第4条の一項、二項、三項に従って、全ての核兵器関連施設の廃棄や不可逆的な転換を含む。第4条の一項、二項が当てはまる締約国に対する本条約の発効前に上記の指定が済んでいない場合、国連事務総長は必要な決定のため締約国の特別な会議を開催する。

 ▽第5条(国内の実施措置)

 一、締約国は本条約に基づく自国の義務を履行するため、必要な措置を取る。

 二、締約国は、自国の管轄あるいは管理下にある個人または区域で行われる条約に基づく禁止行為を防止、抑止するため、刑事罰の設置を含め全ての適切な法的、行政的およびその他の措置を取る。

 ▽第6条(被害者支援と環境修復)

 一、締約国は、核兵器の使用や実験により影響を受けた管轄下の個人について、適用可能な国際人道法および国際人権法に従い、差別することなく、年齢や性別に配慮した医療やリハビリテーション、精神的サポートを適切に提供し、社会的かつ経済的に孤立させないようにする。

 二、締約国は自国の管轄あるいは管理下の地域が核兵器の使用や実験、その他の関連する活動の結果、汚染された場合、汚染地域の環境を修復するため、必要かつ適切な措置を取る。

 三、上記一項、二項に基づく義務は、国際法や2国間の取り決めによる他国の責務や義務に影響を及ぼさない。

 ▽第7条(国際協力と支援)

 一、締約国は、本条約の履行を促進するため他の締約国と協力する。

 二、本条約に基づく義務を履行するに当たり、実行が可能な場合には締約国は他の締約国に支援を求め、それを受ける権利がある。

 三、支援を提供することが可能な締約国は、核兵器の使用や実験によって影響を受けた締約国に、技術的および物的、財政的な支援を行う。

 四、支援を提供することが可能な締約国は、核兵器やその他の核爆発装置の使用や実験による被害者に対し援助を行う。

 五、第7条に基づく支援は、特に国連機関や、国際的・地域的もしくは国の組織や機関、非政府組織(NGO)、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、各国の赤十字社・赤新月社を通じて、または2国間で行われる。

 六、国際法の下で負う他の責務や義務に影響を与えることなく、核兵器やその他の核爆発装置を使用、実験した締約国には、被害者の支援と環境の修復のため、被害を受けた締約国に適切な支援を提供する責任がある。

 ▽第8条(締約国会議)

 一、締約国は関連する条項に従い、次の事項を含む本条約の適用や履行、核軍縮のためのさらなる措置について検討し、必要な場合には決定を行うために、定期的に会合する。

 (a)本条約の履行と締約の状況。

 (b)期限を定めた、不可逆的かつ検証された核兵器計画の廃棄のための措置。本条約への追加議定書を含む。

 (c)本条約の規定に準拠し、整合するその他全ての事項。

 二、最初の締約国会議は本条約が発効してから1年以内に国連事務総長によって開かれる。その後の締約国会議は、各締約国による別段の合意がある場合を除き、国連事務総長によって2年ごとに開かれる。締約国会議は最初の会期で手続きの規則を採択する。手続き規則が採択されるまでの間、核兵器の全面的な廃絶に向けた核兵器禁止のための法的拘束力のある文書を交渉する、国連会議での手続き規則を適用する。

 三、締約国の特別会議は、必要と認められる場合、いずれかの締約国からの署名による要請が締約国の少なくとも3分の1によって支持されれば、国連事務総長が開催する。

 四、本条約が発効して5年となる時点で、国連事務総長は条約の運用と目的達成のための進捗しんちょく状況を調査するための再検討会議を開く。国連事務総長は、各締約国による別段の合意がない限り、同じ目的のためのさらなる再検討会議を6年ごとに開催する。

 五、本条約の非締約国ならびに国連機関、その他の関連国際組織および機関、地域組織、ICRC、IFRC、関連するNGOは、締約国会議と再検討会議にオブザーバーとして招待される。

 ▽第9条(費用)

 一、締約国会議と再検討会議、特別会議の費用は、適切に調整された国連の分担率に従い、締約国とオブザーバーとして会議に参加する非締約国が負担する。

 二、第2条に基づく申告および第4条に基づく報告、第10条に基づく改正案の配布のために国連事務総長が要する費用は、国連の分担率に従い締約国が負担する。

 三、第4条に基づき要求される検証措置の履行や核兵器および核爆発装置の廃棄、全ての核兵器関連施設の廃棄または転換を含む核兵器計画の廃止に関連する費用は、これらの適用を受ける締約国が負担する。

 ▽第10条(改正)

 一、締約国は本条約の発効後いつでも改正を提案できる。国連事務総長は提案文書の通知を受け、全締約国に配布し、提案を検討するかどうか見解を求める。仮に締約国の過半数が提案の配布から90日以内に国連事務総長に対し、提案のさらなる検討を支持すると通知すれば、提案は次に開かれる締約国会議か再検討会議のいずれか早い方で検討される。

 二、締約国会議と再検討会議は、締約国の3分の2の賛成によって採択される本条約の改正に合意することができる。寄託者は、採択された改正を全ての締約国に通知する。

 三、改正は、採択された時点での締約国の過半数がその批准または受託の文書を寄託した90日後、本改正の批准または受託の文書を寄託した締約国について効力が生じる。その後、当該の改正は、その批准または受諾の文書を寄託した他の締約国についても、寄託から90日後に効力が生じる。

 ▽第11条(紛争解決) 一、本条約の解釈や適用に関し締約国の2カ国間以上で紛争が生じた場合、関係当事国は国連憲章第33条に従い、交渉または当事国間が選択するその他の平和的な手段を通じ、紛争を解決するために協議する。

 二、締約国会議は、本条約や国連憲章の関連規定に従い、あっせんの提供や関係当事国が選択する解決に向けた手続きの開始要請、合意した手続きへの期限設定の勧告により、紛争解決に貢献することができる。

 ▽第12条(普遍性)

 締約国は全ての国による本条約への普遍的な参加を目標として、非締約国に対し、条約への署名、批准、受諾、承認、加盟を促す。

 ▽第13条(署名)

 本条約は2017年9月20日からニューヨークの国連本部で、署名のため全ての国に開放される。

 ▽第14条(批准、受諾、承認、加盟)

 本条約は署名国によって批准または受諾、承認されなければならない。本条約は、加盟のために開放しておく。

 ▽第15条(発効)

 一、本条約は50番目の批准または受託、承認、加盟の文書が寄託された90日後に発効する。

 二、50番目の批准または受託、承認、加盟の文書が寄託された後に、批准または受諾、承認、加盟の文書を寄託する国については、その寄託から90日後に本条約が発効する。

 ▽第16条(留保)

 本条約の条文は留保を付すことができない。

 ▽第17条(期間と脱退)

 一、本条約の有効期間は無期限とする。

 二、締約国は、本条約が対象とする事項に関係する異常事態が、自国の至高の利益を危うくしていると見なす場合には、国家主権を行使して本条約から脱退する権利を有する。当該の締約国は、寄託者に対して脱退を通告する。その通告には、当該国が自国の至高の利益を危うくしていると見なす異常事態について記載しなければならない。

 三、脱退は、寄託者が通告を受け取ってから12カ月後に効力が生じる。

ただし、脱退しようとする締約国がこの12カ月間の満了時点で武力紛争の当事国である場合は、当該の締約国が武力紛争の当事国でなくなるまで、本条約と追加の議定書の義務を引き続き負う。

 ▽第18条(他の協定との関係)

 本条約の履行は、締約国が当事国となっている既存の国際協定との関係において、当該の締約国が負っている義務に影響を及ぼさない。ただし、その義務が本条約と両立する場合に限る。

 ▽第19条(寄託者)

 国連事務総長は本条約の寄託者として指定される。

 ▽第20条(正文)

 本条約はアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の文面を等しく正文とする。

 2017年7月7日、ニューヨークで作成。(共同)

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