新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。11都府県で緊急事態宣言が発令され、独自の宣言を出す地域も相次いでいる。佐賀県は今日から、飲食店などに営業時間短縮を要請する。行動自粛呼び掛けや営業時間短縮などの影響で雇用情勢がさらに悪化し、経済的に困る人が増えることも懸念される。生活困窮を防ぎ、支える取り組みの充実が求められる。

 厚生労働省が1月にまとめた新型コロナ関連の雇用に関する調査では、雇用調整の可能性がある事業所は12万カ所を超え、解雇や雇い止め人数は見込みも含めて8万人に達した。半年前と比べると、事業所数は3・4倍、解雇・雇い止めの人数は4倍に増えた。佐賀県の数値は180事業所、688人で、解雇や雇い止めは半年前の2・6倍だ。ただ、この数字は各地の労働局やハローワークからの報告を基に積み上げたもので、実態はさらに厳しいとみられる。

 経済的な困窮など生活に困っている人の相談も増えている。自治体の「自立相談支援機関」には、全国に緊急事態宣言が出された昨年4月から9月にかけて、前年同期の3倍に当たる39万件余りの相談があった。相談では就労や家計、教育への影響などを聞き取り、利用できる公的制度を紹介したり、支援計画を立てたりしている。

 佐賀県内の生活自立支援センターが昨年4~11月に受けた相談は1万5641件。前年の同じ期間の2・3倍に上る。「コロナで売り上げが減って苦しい」「バイトやパートの出勤日が少なくなり収入が減った」「従来の収入を得られる仕事が見つからない」などの相談が多いという。自営業者や飲食業や観光業で働いている人などが目立つという。

 こうした減収世帯への対応として、国は低所得世帯の生活再建を目的に貸し付ける「総合支援資金」の融資対象を、コロナ禍が原因で減収した人にも広げている。2人以上の世帯なら月最大20万円を原則3カ月分まで無利子で借りることができる制度などがある。こうした融資制度の昨年3~12月の利用状況は全国で51万5千件、総額3853億円、佐賀県は5124件、17億1541万円に上っている。

 収入減で住居を失う恐れがある人に一定期間、家賃相当額を支給する「住居確保給付金」の利用も増えている。コロナ禍で支給条件が緩和されたこともあって、佐賀県内の昨年4~12月の支給件数は、前年の同期間より174件多い196件。支給総額は2343万円に上っている。

 さまざまな数字を並べたが、いずれも経済的に困っている人が増えている実態を表している。感染拡大が止まらなければ、状況はさらに悪化するだろう。アルバイトのシフトが減って生活の維持や学費の工面に不安を抱えている学生など、多様な実態を把握し、状況に応じた対応が必要になる。

 新型コロナをめぐる政府の対応には「後手後手」という批判もある。雇用や暮らしを守る対策として、雇用調整助成金を活用して雇用を維持するよう企業に呼び掛け、生活支援費の融資や住居確保給付金の支給も当面延長しているが、生活困窮者を長期的に支える新たな制度や仕組みづくりを考える必要はないか。先を見越した対応が欠かせない。(小野靖久)

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