水害から地域を守るための防災を考える「地域防災力向上シンポジウム」が14日、唐津市の高齢者ふれあい会館りふれで開かれた。講演では松浦川流域の自然を生かした防災機能を紹介し、地形を知った上で災害に遭いにくい住む場所の選び方を提案。パネル討論では、要配慮者の避難の取り組みについて意見を交わした。
武雄河川事務所長を務めていた九州大大学院の島谷幸宏教授が講演した。島谷教授は、松浦川流域の治水機能について「伝統知の宝庫」と話し、唐津市相知町にある舟の先端のような形をした洪水をそらす土手の「舟形屋敷」や同町に再生された湿地「アザメの瀬」などを挙げながら、洪水の被害を抑える役割を説明した。
街の開発などで、浸水が発生しやすい場所にも商業施設や住宅が建てられるケースを問題視し、「地形と災害は密接に関わっている。ハザードマップをよく確認して」と呼び掛けた。
パネル討論では、消防団や福祉施設関係者ら6人が登壇し、要配慮者の避難の取り組みについて意見交換した。人と防災未来センター(兵庫県)の河田慈人さんは、逃げ遅れを防ぐために自力で2階に上ったり、軒先まで出たりする「屋内避難訓練」を紹介した。高齢化率が約7割に上る離島の高島(唐津市)で民生委員を務める野﨑五十鈴さんは、島で自主防災組織を立ち上げ「緊急連絡先を一覧表にして、区長や消防団長まで行き渡るようにした」と説明した。
福祉、防災関係者約100人が聴講した。消防庁と佐賀県、唐津市、県消防協会が主催、佐賀新聞社が共催した。(横田千晶)