昨夏、ネットの動画配信サービスで映画「日本のいちばん長い日」を見た。よく確認せずに選んだため、近作ではなく1967年の作品だった。陸軍大臣を演じた三船敏郎にも引きつけられたが、終戦の日の8月15日にあんな史実があったのだと勉強になった。一歩間違えば「一億総玉砕」の本土決戦で日本は壊滅していたかもしれない◆この映画の原作者である半藤一利(はんどう・かずとし)さんが90歳で亡くなった。東京大空襲に遭った自身の体験を踏まえて昭和という歴史、戦争という悲惨な史実を追いかけてきた◆権力を持った上層部による独りよがりの正義、狂気ともいえる間違った判断、安直な軍事作戦…。それら太平洋戦争を含む近現代の知識が、わが身を振り返ると不足している。だからこそ戦後世代は「知る努力」を重ねなければならない◆人は集団で生きる時、リーダーを求め、リーダーには知識や人格、判断力など優れた資質が求められる。仮に、間違った方向に暴走するなら、みんなで止めなければならない◆半藤さんは「時代の常識は変わっても、起こり得ることの本質は変わらない」と語っていた。歴史には、権力者にとって不都合な真実が潜むことがある。戦争という過ちを繰り返さないためにも「過去を正しく知り、過去に学ぶ努力を怠らないこと」。半藤さんが伝えたかった一つだろう。(義)

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