潮が満ち、海中に漬かった鳥居を前に写真を撮る人々=太良町の大魚神社(撮影・志垣直哉)

潮が引いた有明海に面して建つ鳥居。左奥の3基は満潮になると足元が漬かる=太良町の大魚神社(約5分間露光、撮影・志垣直哉)

潮が引き足元があらわになった海中鳥居。約6キロ先に沖ノ島がある=太良町の大魚神社

 海辺の浅瀬から沖合に向かって朱色の鳥居が3基並んで建つ。有明海に面した佐賀県南部、太良町の栄町地区にある大魚神社の「海中鳥居」。潮の干満差が約6メートルに及び、時間帯によって変わるその姿は、自然の力を感じさせるパワースポットだ。近年、会員制交流サイト(SNS)でより注目を集めるようになり、県外からも多くの観光客が訪れている。

 地元のボランティアガイドの山口渡さん(76)によると、鳥居は、多良岳山頂と有明海の沖合6キロにある沖ノ島を結ぶ直線上に配置されている。「山と海がつながっていることを感じることができる」という。

 鳥居は300年以上の歴史があるとされる。その昔、悪代官を憎んだ住民は沖ノ島で酒盛りを行い、酔った代官を置き去りにした。満ち潮で沈みかけた島で代官が助けを求めると大魚(ナミウオ)が出現。魚の背中に乗って生還する。改心した代官は、島に向けて鳥居を建てたという。

 太良町のキャッチコピーは、月の引力が大きく関係する海の満ち引きにちなんだ「月の引力が見える町」。山口さんは「鳥居はまさに太良のシンボル」と紹介する。

 地元住民の手で、建て替えたり、色を塗り替えたりして代々守られてきた。2011年には山口さんが会長を務める栄まちおこし会が「千乃灯篭まつり」を始めた。灯篭の明かりが鳥居などを照らし出す幻想的な光景は、新たな夏の風物詩になっている。

 16年に陸地に鳥居が1基追加され、17年12月には「22世紀に残す佐賀県遺産」に登録された。朝日や夕日を浴び、夜は月に照らされて風情を変える鳥居は、これからも多くの人を魅了し続ける。(佐賀新聞鹿島支局・中島幸毅)=おわり

 

 JR多良駅から徒歩10分。車では国道207号を道の駅太良から長崎方面に5分。太良町内は、カキ小屋が並ぶ「カキ焼き海道(かいどう)」と呼ばれ、潮の香り豊かな魚介類を味わうことができる。

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