Q 娘の顔を殴ったとして、その父親が逮捕されました。逮捕された父親は、自宅で20代の長女と風呂の残り湯が少ないと口論になり、平手で顔を殴ってしまったようです。家族に対する暴力も、他人に対する暴力と同様に暴行罪や傷害罪に該当するとして処罰されてしまうのでしょうか。相手が家族と他人とでは、罪に違いはあるのでしょうか。

 A 相手が家族の場合でも他人の場合でも、暴行罪(刑法208条)や傷害罪(刑法204条)に該当し、罪に違いはありません。

 確かに窃盗等一部の犯罪については、親族間の犯罪による特例(処罰に関する特例にすぎず、親族間でも犯罪自体は成立しますのでご注意ください)があり(刑法第244条等)、相手が他人か家族によって取り扱いが異なっています。

 刑法では、生命、身体、財産等の個人的法益(法律によって保護しようとする個人の利益)によって刑罰を区別しています。個人的法益以外にも、社会的法益や国家的法益もあります。個人的法益の中でも、生命は最も重く、財産は生命や身体と比較すると下位に位置付けられています。加えて、親族間の自律的解決に委ねることが望ましいという政策的な考慮に基づき、親族間の財産犯の一部については、特例が設けられているのです。

 なお、財産犯でも、相手方の犯行を抑圧する程度の暴行または脅迫を手段として「財物」を強取する強盗罪には、この特例は適用されません。

 暴行罪や傷害罪は、身体に対しての法益侵害ですので、財産犯の一部に適用される特例はありません。家族間の暴力については他人とは異なった事情もあることから、裁判において情状面で考慮される可能性はあります。

 ただ、家族間であっても暴力は絶対許されませんので、お気をつけください。

(武雄市 弁護士 大和幸四郎)

 

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