県警で初めて通信指令の技能指導官に認定されている五郎川政弘警部。後進の育成に尽力している=佐賀市の県警本部

 「初動捜査の生命線」として、後進の育成に尽力している警察官がいる。2017年、専門技能や知識を警察官に伝える「技能指導官」に通信指令部門で初めて指定を受けた佐賀県警通信指令課の五郎川政弘警部(56)=佐賀市=。「ここでのミスは人命に直結する。自分も鍛錬を続け、後継者を育てることが大きな使命」と意気込む。

 県警警務課によると、技能指導官の制度は1995年から始まった。通信指令は110番の「受理」と、その情報に基づいて現場の警察官に指示を出す「指令」の二つの業務を担う。

 事案によっては、気が動転している通報者もいる。「あなたの声を聞きながら警察官を向かわせていますよ」。正確な情報を聞き取るためにも、安心感を与える声掛けを心掛けている。

 通信指令室は、県内各地からの通報を受ける。通話中に出てくる地名、目印になる建物などを知っていると、速やかな現場特定や初動捜査につながる。五郎川警部は非番や週休日を利用し、地域の特徴を把握するようにしている。「自分の足で自分の武器を強くすることが大切」と語る。

 指令では、現場に向かう警察官が状況を想像しやすい情報を伝えることを意識し、例えば交通事故なら、渋滞発生の有無や車両の停止位置について詳細に伝える。「声だけで現場をイメージさせないといけない。状況に応じて緩急、強弱をつけられるよう自己研さんするしかない」

 五郎川警部は20代を交通部門、30~40代半ばを警備部門で歩み、通信指令課での勤務は本年度で7年目。後輩を指導する立場でありながら、「現在も修行の身」と風呂場での発声練習は欠かさない。「いざという時に頼られる存在であり続けたい」との思いを胸に、技能継承に取り組み続ける。(松岡蒼大)

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