一昨年から本紙で連載中だった歴史小説『威風堂々』が昨年末で終了した。全501回。佐賀七賢人の一人である大隈重信侯(1838~1922年)の生涯を描き、読み応えがあった。週替わりで題字を担当してくれた高校生もすてきな書をありがとう◆内閣総理大臣を2度務めた政治家としての足跡もすごいが、30代の頃、明治新政府に登用され、イギリス公使パークスと対等に渡り合った外交の場面が印象に残る。しかし、大隈侯の最大の功労はやはり、「人材育成」だろう。後に早稲田大学となる東京専門学校を1882年に創設した。以来約140年。多くの偉人が巣立った◆『大隈重信自叙伝』(早稲田大学編)に早稲田大創立35周年記念式典での大隈侯の演説が収められている。その中で大隈侯は「学校の独立の精神を貫き、模範の人格をこしらえたい。そして、学理を人間の実生活の上に応用したい」と語っている◆作家で詩人の武者小路実篤に「美しき花を咲かせて知らぬ顔我も汝の如くありたし」という言葉がある。人材だけでなく、何かを育て、花を咲かせることに無上の喜びを見いだす人がいる。そんな人は、表に出なくても満足する◆きょう1月10日は大隈侯の命日。百回忌の今年、『威風堂々』の終章にあった「大隈は死しても大学は残る」という一文の意味をかみしめる。(義)

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