済昭園に送るちゃんこセットを前に笑顔を見せる林博さん=昨年12月、大阪市中央区の「すもうキッチン佐賀昇」

 コロナ禍が多くの飲食店に影を落とす中、県出身の元幕内力士・佐賀昇の林博さん(59)が大阪市で営むちゃんこ店「すもうキッチン佐賀昇」に、ふるさとから「ちゃんこセット」のお取り寄せの注文が大量に舞い込んだ。子どもの頃にお世話になった児童養護施設の職員らの厚意で、林さんは「本当にありがたい」と感激している。

 林さんは白石町生まれ。両親を亡くし、小学5年から塩田町(現嬉野市)の児童養護施設「済昭園」で育った。最高位は前頭14枚目で、1996(平成8)年1月まで土俵に上がった。

 引退した年に大阪府豊中市にちゃんこ店を開業。その後、繁華街ミナミ(中央区西心斎橋)に店舗を移した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「売上は8~9割減」と林さん。現在も第3波に加え、大阪府が11月27日から始めた時短営業の要請の中にいる。

 大阪府では「医療非常事態宣言」が発令(12月3日)されるなどより厳しさを増す状況を知り、社会福祉法人「済昭園」の養護老人ホームで施設長を務める旧知の小佐々徹正=てっしょう=さん(44)が12月上旬に「ちゃんこセットを販売しては」と提案。東京・銀座の相撲茶屋佐賀昇(経営は別)がセットを通販していたことからアドバイスした。林さんは急ぎ準備を進め、だし、鶏つみれ、ゆずごしょう、うどんのセットを一週間ほどで完成させた。

 小佐々さんが同法人の職員約240人に声を掛けたところ、500セットを超える発注に。中には10セット購入した職員もいた。

 林さんは現役時代に施設をたびたび訪れていた。現在も交流は続き、2018年には済昭園の創立90周年を記念した関西への職員研修旅行でミナミの店を訪れたという。林さんは「コロナで苦しんでいる時に助けてもらった。ありがたいことです」と施設とのつながりに胸を熱くする。白石や塩田の同級生からも注文が入っているという。

 ちゃんこセットは1人前2千円(税込み)で販売。送料は着払い。問い合わせは同店、06(6211)5005。(吉松誠一郎)

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