「地域の歴史に興味を持ってもらうきっかけになれば」と話す東統禅さん=小城市芦刈町

 小城市芦刈町の福田寺(ふくでんじ)住職で、小城郷土史研究会員の東統禅(あずま・とうぜん)さん(53)が、郷土研究誌『丹坂(にざか)峠の戦い』を刊行した。戦国時代の16世紀半ば、小城で起きた龍造寺隆信と島原の有馬氏との合戦をテーマに関連史料を丹念に調べ、北部九州の勢力図の変動をひもといている。

 丹坂峠は現在の小城町池上に当たる。隣接する多久市東多久町には有馬軍の戦死者の供養塔も残るが、これまで詳しく研究されてこなかったという。東さんは現地で住民への聞き取りも重ね、戦地付近の畑から20本以上の刀が見つかったという証言も得た。

 本誌によると、丹坂峠の戦いは肥前の支配権を争い、龍造寺氏と有馬氏が繰り返した合戦の一つ。龍造寺氏は、有馬軍の内通者からの情報を基にさまざまな戦略を練って撃退した。この勝利をきっかけに龍造寺氏は西方に勢力を伸ばしており、「北部九州の帰き趨すうに大きな影響を与えた重要な合戦の一つ」と考察している。

 江戸時代にまとめられた『九州治乱記』など佐賀、長崎の文献を調べ、A4判103ページにまとめた。諸説ある合戦の時期は1563(永禄6)年と推定し、国土地理院の旧地図や絵図も活用して両軍の動きを図解した。

 1部1914円で販売しているほか、小城市や県立の図書館などに寄贈する予定。東さんは「文献調査とフィールドワークを重ねることで、新たに見えてくる地域の歴史がある。子どもたちにも分かりやすく伝えていきたい」と話す。問い合わせは福田寺、電話0952(66)1681。

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