窯から出された作品の出来栄えを確認する十四代今泉今右衛門さん=6日午前、西松浦郡有田町の今右衛門窯(撮影・山田宏一郎)

 色鍋島で知られる西松浦郡有田町の人間国宝(重要無形文化財保持者)十四代今泉今右衛門さん(58)の窯で6日、仕事始めの「初窯出し」が開かれた。今右衛門さんは、窯から新作などを取り出して出来栄えを確認し「とろっとした柔らかい釉薬の雰囲気が出ている。無事に仕上がってほっとした」と表情を緩めていた。

 神事では窯の仕事の安全に加え、今年は新型コロナウイルス禍の収束を祈願した。今右衛門さんが薪(まき)窯の入り口のトンバイ(レンガ)を取り除き、昨年12月21、22日に焼成した約220点を職人らと運び出した。

 このうち約30点は、5月の東京での個展や有田陶器市向けの今右衛門さんの作品。桜やザクロなど12カ月の各月を象徴する花や実をあしらった「色絵雪花藍色墨(いろえせっかあいいろすみ)はじき四季花文香炉(しきはなもんこうろ)」は、格子を組み合わせた新しいデザインを創作した。

 2020年は5回の個展のうち2回が中止、1回が延期になるなどコロナの影響を受けた。「伝統工芸は炎や土といった自然の力をいかに受け入れるかという仕事。コロナ禍の中で、この仕事が何らかの形で人々に力を与えるのではないかという思いで制作に当たりたい」と今年の抱負を述べた。(古賀真理子)

今右衛門窯の初窯出し(2021年1月6日)
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