「田舎の村だから人がいないし、外での作業だから3密になるわけでもない。『田舎で農業』が最強のコロナ対策だよ」

 天に向かって海岸沿いに巨石が並ぶ「立神岩」を臨む唐津市湊町。玄界灘に面した海辺の町と国道を隔て、上場台地に向かう斜面にはミカン畑が広がる。この集落で、農民作家の山下惣一さん(84)は農業を続けながら執筆活動を続ける。

 「農業は自然相手。四季それぞれに収穫があり、作業がある。新型コロナウイルスの感染が拡大しているといっても、何も変わらない。毎日、その日に終えなければならない作業の段取りを考える。その繰り返しだ」

 生まれ育った集落に住み続け、代々続く農家を継いだ。今は主力のミカンを5反(約5千平方メートル)、田んぼ3反の世話をする。梅やレモンも栽培し、自宅の横の畑では季節の野菜も育てる。

 「若いころは都会に行きたいと思うこともあった。だけど、価値観は人それぞれ。都会の良さ、田舎の良さは住んだ人がどう感じるかだろう。ここ数年、自分と家族が楽しむためにビワ、桃、ブドウ、柿を1本ずつ育てている。ミカンと合わせ、1年中果物が絶えることはない。この夏はブドウを毎日1房ずつ食べ続けた。自分が育てたものを収穫してすぐ食べる。こんな楽しみができるのは農家だけだよ」

 ただ、古里の営みを見つめ続けてきた農民作家の目には、コロナ禍で変わりつつある集落の姿も映っていた。

*     *

佐賀新聞電子版への会員登録・ログイン
この記事を見るには、佐賀新聞電子版への登録が必要です。
紙面購読されている方はダブルコースを、それ以外の方は単独コースをお申し込みください
佐賀新聞電子版のご利用方法はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加