2021年の政治の焦点は、菅義偉首相が初めて有権者の審判を受ける衆院選に絞られる。

 安倍晋三前首相の任期途中の辞任に伴い、自民党の両院議員総会で選出された菅首相(党総裁)は、有権者に選ばれたわけではない。衆院選は国民の信任を得られるかが問われる機会となる。

 有権者にとっては17年10月以来の衆院選だ。自民、公明両党の連立政権を継続させるのか。野党第1党の立憲民主党を中心にした政権への交代を選ぶのか。政策を吟味し、投票を通じ、政権選択の審判を下したい。

 衆院議員の任期満了は10月21日。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中で、首相はいつ衆院解散・総選挙に踏み切るのか。難しい判断を迫られることになる。

 解散の時期は絞られる。首相は「新型コロナの感染拡大防止が完全にできないと、解散はやるべきではない」と述べている。感染状況の先行きは現時点では見通せず、年明け早々の解散は困難だろう。

 その後も日程は窮屈だ。7月に任期満了となる東京都議選が実施され、東京五輪・パラリンピックも新型コロナ次第だが7月23日から9月5日まで開催される予定だ。

 早期解散を見送れば、解散は21年度予算成立後の4月か、通常国会会期末の6月、パラリンピック終了後の9月になる。任期満了の衆院選も含めて、首相の判断が焦点となる。

 衆院選で問われるのは、まず菅政権の新型コロナ対応だ。首相は観光支援事業「Go To トラベル」を進めるなど感染症対策と経済活動の両立を掲げてきた。しかし感染拡大防止の成果は上げられていない。新型コロナは人々の日々の暮らしを直撃している。有効な対策を打ち、国民の不安を解消できるのか。政権評価の最大のポイントとなる。

 一方、首相としては携帯電話料金の値下げや、9月新設予定のデジタル庁を柱とする行政のデジタル化推進などの看板政策で実績を示し、急落した内閣支持率の回復につなげたい考えだろう。

 相次ぐ疑惑に対する首相の姿勢も問われる。安倍前首相の「桜を見る会」問題や、鶏卵生産業者から現金を受領し議員辞職した吉川貴盛元農相の疑惑など、自民党では「政治とカネ」を巡る問題が続いている。長期政権の間に党の規律規範は緩み、自浄能力を失ってしまったのではないか。

 1月18日召集予定の通常国会では、衆院選を控え、野党の追及は厳しさを増すだろう。吉川元農相の辞職などに伴う衆参の補欠選挙も4月25日に実施される。政治不信の解消に取り組む政権の姿勢が争点の一つになる。

 野党側は政権交代に向けた選挙共闘が最大の課題だ。立民党は昨年、国民民主党と合流し、衆参両院で約150人の勢力となった。だが、一部議員は参加せず、国民民主党は残った。

 野党がばらばらに候補者を立てれば、自民党を利するだけだ。共産党も含めて候補者を一本化できるか、選挙区調整をどこまで進められるかが鍵となる。

 安倍、菅と続く「1強政権」を許しているのは、政権交代の選択肢になり得ていない野党に重大な責任がある。菅政権の対抗軸となり、有権者を引きつける明確な政策ビジョンを示すよう求めたい。(共同通信・川上高志)

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