おせち作りで黒豆やキンメダイ、昆布巻きなどを丁寧に盛る料理人=佐賀市のガーデンテラス佐賀ホテル&マリトピア(撮影・鶴澤弘樹)

感染症指定医療機関として新型コロナウイルスの対応に当たる佐賀県医療センター好生館。出入り口には、門松とともに感染流行地を示す日本地図が掲示され、個別に来院者の行動歴などを確認している=佐賀市嘉瀬町(撮影・志垣直哉)

入所する母親と距離を保ったまま、施設の入り口で面会する女性=佐賀市の介護老人保健施設「みどりの園」(撮影・志垣直哉)

 新型コロナウイルスの猛威に翻弄された2020年が暮れようとしている。佐賀県内の感染症指定医療機関は気を抜けない対応が続き、老人福祉施設では感染リスクを避けるため、年末年始の面会を遠慮してもらう苦渋の判断をしたところもある。ふさぎ込みそうになる気持ちを少しでも和らげようと、正月のおせちを手掛ける料理人たちは、思いを込めて仕込みを続けている。

 新年を前に高さ2メートルを越す門松が飾られた佐賀市の佐賀県医療センター好生館。感染症指定医療機関として、県内の新型コロナ対策の最前線に立ち続けている。正面玄関には、感染が拡大する都道府県を赤く表示した日本地図。2週間以内に流行地域を訪れた人は職員に申告するように、繰り返しアナウンスしている。

 「いつのまにか赤ばかり。どこまで広がるのだろう」。39の診療科・部門と入院病棟など、約570人の看護師を統括する佐伯悦子看護部長は、毎週更新される日本地図を見やり、ため息をついた。感染の第3波を示すように、22日現在の地図では32都道府県が赤く染まっていた。

 好生館では、県内で3月13日に感染者が初めて確認される前の2月半ばから、感染拡大に備えた訓練を重ねた。佐伯部長はその後も日々の状況や対応を日誌に記録してきた。「感染症の流行はこれからも確実にある。蓄積は必ず役に立つ」

 約80人のお年寄りが入所する佐賀市の介護老人保健施設「みどりの園」は、29日で年内の面会を終了した。再開は1月4日。感染リスクを避けるための決断だった。古賀ゆかり事務長は「入所者も家族も面会は大きな喜び。それを拒むのは心が痛い」とつぶやいた。一方で、久しぶりに再会を果たす家族の情景に何度も胸を熱くしてきた。「この一年は家族の絆を改めて感じた年でもありました」

 平穏な日常が消え、例年と異なる年の瀬の光景。それでも新年を迎える準備は進む。

 「黒豆は無病息災、数の子は子孫繁栄。おせちにはいろんな願いが詰まっている。今年は特に力を入れて作っている」。佐賀市のガーデンテラス佐賀ホテル&マリトピア。おせちに盛り付ける華やかな具材が並ぶ調理場で、総料理長の小松薫之さん(56)はそう胸の内を語る。

 ホテルでは、結婚式やさまざまな宴席の需要がコロナ禍で激減した。昨年末は1日に1200~1300人分の料理を作りながら、おせちの仕込みをしていただけに、寂しさが募る。「また集まって、うちの料理を楽しんでもらえるように、信頼につながるものを作らないといけない」。おいしい料理でふさぎ込んだ心が癒やされますように-。願いを込めながら、31日の大みそかも調理に臨む。(石黒孝、大橋諒)