吉野ヶ里町役場(東脊振庁舎)

 来年度から本格運用が始まる五ケ山ダムの所在地・神埼郡吉野ヶ里町に支払われる交付金を巡り、同町が異議申し立てをしたことが28日、町への取材で分かった。利水者の福岡県側が土地の鑑定額などを元に算出して直接支払うが、11月に通知された額が、受け入れ当時に想定した額を大幅に下回っており、町は「水没地への特段の配慮を」と求めている。

 ダム水没で吉野ヶ里町に支払われるのは、国有資産等所在市町村交付金。土地や償却資産に課される固定資産税の代わりに、利水者の福岡市と春日那珂川水業企業団などが毎年支払う。

 11月に町に通知された交付金の試算では、土地の不動産鑑定額を1平方メートル当たり390円とし、ダム本体の償却資産の取得価格から算定した額を加え、来年度から30年間の平均額は約4500万円とした。来年度分の試算は約2700万円だった。

 これに対し吉野ヶ里町は21日、不動産鑑定額が低いとして、利水者側に修正を申し出た。ダム水没に関して調印した2002年、旧東脊振村と福岡県が行った協議の中で、当時の福岡県水資源対策局長が「(交付金は)7千から8千万円になるだろう」と話したことを記す助役のメモが残っており、実際の土地取得価格の平均額である1平方メートル当たり1万6千円を根拠に挙げ、修正を求めた。

 異議申し立ては、具体的な金額を提示する必要があるが、町は「水没地の思いをくんでほしい」として、額を提示していない。利水者側は2カ月以内に回答する必要があり、福岡市水道局は「法律に基づいた申し出として対応し、回答する」としている。

 町は交付金を、建設中の文化体育館の維持管理費などに充てたい考え。伊東健吾町長は取材に対し「ダムは水没地の犠牲で成り立っている」とした上で、「利水としては水1滴も利用しない。特段の配慮をお願いしたい」と述べた。(西浦福紗)

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