看護師に抱っこしてもらい、笑顔を見せる利用者=白石町の障害者福祉事業所「ワン・ハピネス」

障害者福祉事業所「ワン・ハピネス」の看護師や職員=白石町

 人工呼吸器やたんの吸引など医療的なケアが必要な人たちを対象にした障害者福祉事業所「ワン・ハピネス」が、白石町坂田に開設されて2年が過ぎた。この間、利用者に寄り添い、家族の負担軽減につなげる事業を展開し、利用者家族の心のよりどころになっている。

 日中の生活援助や活動の機会を提供する「生活介護」のほか、「グループホーム」「短期入所」、18歳以下を対象とした「日中一時支援」を提供している。日中一時支援は2018年10月の開設以降にサービスに加え、当初1人の短期入所の定員は19年8月の佐賀豪雨で受け入れられなかった経験から6人に増やした。

 1日平均で生活介護が10人ほど、グループホームは2人が入所し、短期入所と日中一時支援はそれぞれ2、3人が利用している。看護師は8人が常勤し、たんの吸引やチューブで直接胃や腸に栄養を送る「経管栄養」など医療的ケアを行っている。

 夫が盲腸になり、娘を短期入所で預けた50代の母親は「自分は倒れることができないと思っていたが、頼れるところができた」と振り返り、同じく短期入所を利用した40代の母親は「初めて他のきょうだいの部活の遠征について行くことができた」。365日24時間のケアから、ひと息つける安堵(あんど)の表情が垣間見えた。

 より安心して預けてもらうため、毎月、佐賀大医学部から鈴木智惠子教授を招いた研修会を開き、職員の対応力に磨きをかけている。施設長の森田慶子さん(62)は「20、30年後にやってよかったと思えるように利用者も家族もみんなで笑える温かい事業所をつくりたい」と力を込める。

 医師や看護師などでつくる県医療的ケア児等支援連絡協議会の松尾宗明会長(60)=佐賀大医学部教授=は「県内で医療的ケアを行う民間の障害者福祉施設は数少ない」と語り、「経営的な問題や利用者の状態が悪化した場合にリスクを負うこともある。行政などの支援で後押しがあり、施設が増えることが望ましい」と訴える。(松田美紀)

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