観客数を制限して開催されているサッカーJリーグ。マスクを着け、一定の間隔を空けて座るサガン鳥栖サポーター=鳥栖市の駅前不動産スタジアム

 新型コロナウイルスの影響で、環境が一変したスポーツ界。観客は1席ずつ間隔を空け、マスク姿で声を出さず、静かに試合を見守るスタイルが定着し、チケットは“完売”でもスタンドが埋まることはない。運営側は試合のオンライン配信や入場者数の制限といったさまざまな対策を取りながら試合ができる環境を整えるが、観客数の減少は経営を直撃し、難しいかじ取りを迫られている。

 サッカー・J1王者の川崎Fを迎えた12日の駅前不動産スタジアム(鳥栖市)。サガン鳥栖のサポーターら今季最多の9451人の観客が詰めかけた。

 「やっぱりスタジアムのほうが試合の臨場感や一体感を味わえる」とサポーターの馬場裕一さん(34)。チケットは完売だったが、3密を避けるため観客数は収容人数の約半分だった。

 新型コロナの感染拡大で、佐賀に拠点があるプロスポーツチームを取り巻く環境は大きく揺れた。Jリーグはリーグ戦を中断するなど日程変更を余儀なくされ、バスケットボール・Bリーグは昨シーズン途中で全試合を中止。無観客試合を経て、現在は観客数を制限して開催している状況だ。

 サガン鳥栖はリーグ戦が再開した7月以降、Jリーグの指針に従って感染対策を徹底し、無観客から段階的に入場者数の上限を引き上げてきた。馬場さんは、9月中旬からスタジアムでの観戦を再開した。「座席の間隔も空いていて、指定席なので安心して観ることができた」と話す。

 バレーボール女子・V1リーグの久光スプリングス(鳥栖市)やバスケットボール男子Bリーグ2部(B2)の佐賀バルーナーズ(佐賀市)など、他の競技の試合でも新しい観戦スタイルが定着。会場の出入り口では来場者の検温があり、37・5度以上の発熱がある場合は入場を断っている。

 会場ではマスクの着用が義務付けられ、観客同士のハイタッチや抱擁などの接触行為も禁止。会場での選手やチームスタッフらとの対面によるファンサービスは中止されている。

 観客は徐々に増えているが、入場者の制限は興行的には大きな影を落とす。サガン鳥栖は11月、収入の柱である興行収入(チケット・グッズ販売)が8億円減少し、本年度決算で約10億円の赤字になる見込みを示した。ほかのクラブも同じで、Jリーグは全56クラブの約8割が赤字になり、約4割が債務超過になるとの見通しを示している。

 プロスポーツが存続していくためには、観客の存在は欠かせない。感染防止対策と、興行が成立する入場者数のバランスをどう取っていくのか、クラブとファンの頭の痛い日々は続く。(山口源貴、井手一希)

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