『かちがらす』著者の植松三十里さん

文庫化された『かちがらす』の表紙

 佐賀新聞紙上で2017年6月から18年1月にかけて連載した植松三十里さんの歴史小説『かちがらす』(小学館文庫)が文庫化された。日本の近代化をリードした佐賀藩10代藩主・鍋島直正の先見性を描いており、植松さんは「多くの人に直正の功績を知ってもらい、佐賀を誇りに思う気持ちが広がれば」と話す。

 作品は反射炉建設や大砲鋳造、種痘、蒸気船建造といった難事業に、藩を挙げて挑んだ直正のリーダーシップや苦悩を、家族や学問の師古賀穀堂、側近古川松根らとの触れ合いを織り交ぜながら描いた。18年に単行本が出版され、好評を博した。発刊記念のシンポジウムに登壇した俳優・ミュージシャンの陣内孝則さんが「この先見力と今こそ学ぶべきリーダー像に感動しました!」とコメントを寄せている。

 植松さんは、直正が天然痘の予防接種を普及させるため、息子の淳一郎(直大)に種痘を施したエピソードなどを引き合いに「西洋の技術への理解が深く、コロナ禍の今にも通じる取り組みがある」と指摘する。

 その上で植松さんは「描きたかったのは人間味のある直正像。文章も分かりやすさを心掛けたので、高校生ら若い世代にも読んでほしい」と話す。(古川公弥)

 ▼価格は800円(税別)。全国主要書店とオンラインストアで販売。

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