県が配布しているヘルプマーク(左)。右は「手伝ってほしいこと」を裏に書き込み携帯するヘルプカード=佐賀県庁

 赤いタグに白抜きの十字とハートマークの「ヘルプマーク」を佐賀県が導入して2年余りが経過し、配布は7千個を超えた。人工透析など内部障害のある人や妊娠初期の女性といった、見た目では配慮や支援が必要だと分かりにくい人たちが、周囲に知らせるために使う。利用者から「座席を快く譲ってもらえた」などの声が上がる一方、「障害があることを知られるのは不安」と、活用をためらう人もいる。

 配布数は初年度の18年度が最も多く5054個、19年度は1808個、20年度は9月末までで490個。市町窓口のほか、一部の障害者団体でも配布している。県障害福祉課が活用法を尋ねたところ「常に携帯」「公共交通機関を利用するときに携帯」が多かった。

 「これまでは周りに支援を得られたらありがたいと、知らせるものがなかった。マークのおかげで気持ちが楽になった」。半年前から使っている佐賀市の岩永健志さん(22)は、水頭症の影響で体のバランスが取りづらい。夏ごろ、混み合うバスに乗り込むと、マークを目にした男性が迷いなく座席を譲ってくれたという。

 ヘルプマークは緊急時に備え、自らの障害や病気などの情報を書き込み、片面にシールで貼り付けることもできる。後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)を患う鳥栖市の女性(61)は「個人情報を不特定多数が目にする可能性があり、抵抗がある」と話し、「個人情報が見えづらい工夫、例えばカード入れのような袋状にしてもらえたら」と改良版に期待する。

 佐賀市の藤井優紀さん(26)は、10月に入手したが使っていない。マークの導入自体には「助けて、と言いやすい世の中になったと思う」と感謝しつつ、「障害があると知られるのは、怖さや恥ずかしさがある」と話す。配布窓口の一つ、県難病相談支援センターの三原睦子所長(61)は「まだ、障害を表に出しづらい人が多いという社会の課題も見えてくる」と指摘する。

 ヘルプマークは、多くの人に意味を知ってもらうことも大切だ。県障害福祉課によると、認知度は18年度に31・2%、19年度は41・5%。本年度は50・0%を目指す。「見かけたらどうしたらいいですか」という質問も寄せられており、同課は「困っていると察知したら、どうされましたか、と声を掛けてほしい」と話している。(川﨑久美子)

=ズーム=

 ヘルプマーク 縦8・5センチ、横5・3センチの長方形でストラップ付き、赤地に白の十字とハートをあしらっている。東京都が考案したものを2018年7月に佐賀県が導入した。

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