エチオピアの紛争を逃れスーダンの村で食事の準備をする人=17日(ロイター=共同)

 世界食糧計画(WFP)が緊急支援を行う主な国・地域

 エチオピアの紛争を逃れ、スーダンの村で食料支援を待つ人々=17日(ロイター=共同)

 国連の推計で、世界の約7億人が飢餓に苦しんでいる。要因は紛争や気候変動で、新型コロナウイルス拡大に伴う規制で状況は一層悪化。12月10日にノーベル平和賞を受賞する国連の世界食糧計画(WFP)の多国間協調理念とは裏腹に、大国のエゴで支援は滞る。ノーベル賞委員会は「飢餓に目を」と警鐘を鳴らすが、国連目標の「2030年までの撲滅」は遠のく一方だ。

 WFPは平和賞受賞で世界の関心が飢餓問題に集まることに期待。日本など先進国の各個人には食品ロス削減を求める。途上国支援では、食料生産を支える農村部のインフラ整備や、育児期に重点を置いた食料援助の国際協力が急務だ。

 国連は7月「世界人口の8・9%に当たる約6億9千万人が飢餓状態にあり、このままでは30年までに8億4千万人を超える」と警告。何も口にできない日がある「重度の食料不安」を19年に経験した人は7億5千万人に。栄養不足人口の半分をアジアが占め、アフリカでは栄養不足の人が19・1%で約2億5千万人。特に深刻なチャドなどは35%を超える。

 シリアでは内戦の影響で食料不安を抱える人が930万人。イエメンやコンゴ(旧ザイール)では洪水が作物をなぎ倒し、南スーダンではバッタの大群が畑を食い荒らした。追い打ちを掛けるのがコロナだ。国境封鎖で食料供給が絶たれ、価格が高騰し支援も停滞。都市封鎖で失業は相次ぐ。

 ノーベル賞委員会は10月、WFPへの授賞理由で「国際連携の必要性が今ほど明白な時はない」と訴え、国際協調から手を引いたトランプ米大統領を暗に非難。協調回帰を訴えるバイデン次期大統領へ期待が集まる。

 一筋縄ではいかない支援先の国もあり、支援の必要な人々は翻弄(ほんろう)されている。北朝鮮は昨年「敵対勢力が国連の支援を政治化している」と、国連機関の北朝鮮常駐職員の削減、調整を要求した。国際非政府組織(NGO)オックスファムは、コロナに関連した飢餓の死者数が年末までに1日1万2千人に上る恐れがあると指摘している。(共同=伊東星華)

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