「子育てし大県“さが”」

 結婚や出産、子育てがしやすい環境を整える「子育てし大県“さが”プロジェクト」。県庁に推進本部を立ち上げ、組織を横断して支援を進めており、今年で6年目を迎えた。出会いから子育てまでのライフステージに合わせて幅広く支援する事業を展開し、子育て環境に対する県民の評価は高まっている。主な取り組みを紹介する。

 

男女共同参画 男性の育児・家事後押し

11月上旬に開かれた、家族の在り方を考えるイベント「PAPAシンポジウム」 編注

 夫が妻の妊娠期から、積極的に育児や家事に参加する「イクカジ」も推進している。「マイナス1歳(妻の妊娠期)からのイクカジ」と銘打ち、2018年度から活動を始めた。

 県は昨年度、県版の父子手帳「SAGA PAPAポケットブック」を配布した。一般的な指南書とは異なり、子育てを楽しむこつなどをイラスト付きで紹介している。公式ホームページからもダウンロードできる。

 また、今年もシンポジウムなどを開催し、妊娠期から育児・家事に関われるよう後押ししている。県男女参画・女性の活躍推進課は「妻の妊娠期は、男性も父親としての役割を意識しはじめる。産後の育児にスムーズに移行するための準備期間にしてほしい」と話す。

・イクメン力全国トップに

 子育てし大県に関する事業は年々増え、本年度は54事業に及ぶ。継続した支援の結果、4年に1度調査する県民意識調査では、2018年に実施した「安心して子どもを産み育てることができる」の項目の満足度が、前回調査より12.6ポイント増え45.8%まで上昇した。県こども未来課は「一歩一歩進んでいる。支援をより加速させて、満足する人を増やしていきたい」と展望する。

 積水ハウスが、男性の育児や家事への積極性などを数値化して発表した今年の「イクメン力全国ランキング」では、佐賀県が1位になった。新型コロナウイルス感染症の影響で在宅時間が増え、夫婦のストレスの増加も懸念される中で、特に「妻が評価する夫のイクメン度」の評価が高く、県男女参画・女性の活躍推進課は「光栄なこと。引き続き県も後押ししていきたい」と話している。

 

多胎家庭サポート 経験者が情報提供、交流会も

双子・三つ子サークルグリンピースの活動の様子=佐賀市

 県内で年間約60組が生まれるという双子以上の多胎児支援の取り組みとして、県は親の孤立感や負担感軽減を目的に、本年度から多胎家庭等サポート事業を始めた。情報提供・理解促進、多胎児の育児経験者が支える「ピアサポート」、ヘルパー派遣の3本柱で民間団体と行政が連携し、支援を求める家庭に手をさしのべている。

 多胎児を持つ家庭への支援を巡っては昨年5月、市民団体「さが多胎ネット」が発足している。これを機に、育児情報などが載った「ふたご手帖」を配布し、多胎育児経験者をピアサポーターとして養成。各市町の要望に応じ、ピアサポーターと保健師が一緒に多胎家庭を訪問している。

 9月には多胎妊婦らによる交流会も開いて、情報を共有した。ヘルパーを派遣して、家事などを支援する事業も調整を進めている。

 県こども家庭課は「周りに多胎育児経験者が少なく、情報が少ないことも課題だった。民間や県、市町が連携して、どこに住んでいても安心して子育てできるよう、三位一体で支援していきたい」と話す。

 

妊娠・出産支援 若い世代のがん治療を助成

 小児やAYA世代(15~39歳)のがん患者が安心して治療を受け、療養生活を送ることができる環境づくりも始めた。

 子どもを産み育てることを望む人が、がん治療によって生殖機能に影響を受ける恐れがある場合に、治療前に精子や卵子などを採取して凍結保存する「妊孕(にんよう)性温存治療」の費用の一部を助成。末期がんの患者が住み慣れた自宅で安心して療養生活を送れるよう、在宅ケアにかかる費用も助成する。

 経済的な理由から妊孕性温存治療や在宅ケアを諦める人もいる。県がん撲滅特別対策室は「若い世代は患者数が少ないため、支援に関する知識が広がりにくい。まずは制度を広く知ってもらうことが大切」と呼びかけている。

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