地域振興

 人口減少など地域が抱える課題を解決しようと、佐賀県は移住支援などに力を入れる。また山の魅力を再発見し、次の世代につなげようと、地域住民が主体となって話し合う「山の会議(仮)」も活発化。移住者と地域住民の両面から後押しし、地域振興を深化させる。

山の会議(仮)

課題見つめ将来語り合う

 人口減少や高齢化が進んでいる中山間地での暮らしや営みを未来へ伝えていこうと、地域住民らが将来について語り合う「山の会議(仮)」が県内各地で開かれている。佐賀県が本年度から始めた事業で、住民らによる自発的な取り組みを後押しし、各地域間のネットワークの構築を目指している。

 
太良・鹿島ブロックの「山の会議(仮)」では、地域住民らが多良岳山系の魅力などを語り合った=10月18日、藤津郡太良町大浦の竹崎観世音寺

 中山間地では空き家や耕作放棄地が増え、高齢者が地区の行事を担っている現状がある。近年は豪雨などの自然災害も増えている。会議はそうした課題を見つめつつ、山の魅力を再発見して未来へつなげる自発的な「山活(山の資源を生かした取り組み)」の輪を広げていくことを目的にしている。

 今年の開催地域は、脊振山系、太良・鹿島、嬉野・武雄、離島・半島の4ブロックを設定した。県は農家や林業関係者、漁業者など幅広い職種や世代に参加を呼び掛け、8月10日の「山の日」に開いたキックオフイベントで一堂に会した。

 10月にはブロックごとに会議を開催。藤津郡太良町の竹崎観世音寺で開いた太良・鹿島ブロックでは、約25人が車座になって多良岳の魅力を語り合った。自然環境や山岳信仰の歴史を踏まえ、「山は観光資源になる」「案内人の人材バンクをつくる」といった気付きやアイデアが出され、実現に向けて参加者が結束を図った。

 キックオフイベントをきっかけに地域間のつながりができ、連絡を取り合う関係も生まれているという。県さが創生推進課は「他の地域のことを知り、お互いに刺激を受けている。さらに輪を広げ、課題や取り組みを共有してほしい」と期待する。

 今後は4ブロックの合同発表会を年末に開くほか、来年度以降も継続し、さらなる機運醸成につなげていく予定だ。

移住促進

地域の魅力オンラインで発信

 佐賀県は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、新たな手法で県内への移住促進策を進めている。東京を中心とした都市部在住者の地方移住への関心が高まっている状況を受け、ピンチをチャンスに変えようと意気込む。

 県は、県内への移住を希望する人たちに向けた総合相談窓口「さが移住サポートデスク」を2015年に開設。16年には福岡と東京にもオープンし、移住相談の受け皿になってきた。ターゲットとする年齢層を子育て世代や20~30代の女性に設定し、積極的にPR活動を展開。19年度に県や市町の移住支援を受けて県内に移住した人は691人となり、取り組みが始まって以来最も多かった。

県はオンライン移住相談で佐賀の魅力を発信している=7月、県庁

 地方への移住を支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京)が発表した、19年の移住希望地ランキングでは、佐賀県が20代以下部門で3位、30代部門で5位に入った。県移住支援室は、「県がターゲットとする層に、暮らしやすさ、子育てしやすさといった、佐賀県の本質的な良さを評価してもらっている」と手応えを感じている。

 従来なら、県外で開催される移住相談会などのイベントに積極的に参加するが、今年は新型コロナの影響で2月以降のイベントが軒並み中止になった。そこで、県は新たにオンラインや「LINE(ライン)」を使った相談窓口を開設、動画投稿サイト「ユーチューブ」の専用チャンネルも設けた。今後はオンラインでの移住体験ツアーを年度内に実施するなど、新たな手法を取り入れて県の魅力を発信していく。同室は「オンラインではあるが、暮らしやすく、人が温かいという佐賀の魅力が伝わるよう、さらに力を入れていきたい」と意欲を見せている。

 

トピックス
地域おこし協力隊

 都市部から地方に移り住み、魅力の発掘や課題解決に取り組む「地域おこし協力隊」は現在、佐賀県内で約30人が活動している。県は3年の任期後も佐賀に住み続けてもらえるよう、隊員や隊員を委嘱する市町へのサポートに力を入れている。

 県内の隊員の定住率が50%(2019年3月現在)にとどまる中、元隊員らが協力隊受け入れや定着を推進する「佐賀県地域おこし協力隊ネットワーク」を19年11月に発足させた。県と共に隊員の相談や受け入れ自治体の支援に当たっている。今年は、県とネットワークが協働でオンラインイベントを開き、移住希望者に向けて仕事のやりがいやサポート体制を紹介している。

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