くらし

 佐賀県は、交差点内や交差点レーンのカラー化など、デザインの力を活用して交通安全意識改革を目指す「SAGA BLUE PROJECT(サガ・ブルー・プロジェクト)」や、徒歩や自転車、公共交通など多様な移動手段を暮らしの中に積極的に取り入れる「歩くライフスタイル」を推進し、県民の安全・安心な暮らしとこれまで気づかなかった地域の魅力を見つめ直すきっかけづくりに取り組んでいる。

サガ・ブルー・プロジェクト

目指せ交通事故ゼロ

 悲惨な交通事故を1件でも減らしたい―。佐賀県は、デザインの力を活用して事故防止を目指す「SAGA BLUE PROJECT」を展開している。交差点のカラー化(ブルー舗装)などのハード面、交通安全啓発のための県民参加型イベントなどのソフト面の2本柱で取り組む。
 佐賀県は人口10万人当たりの人身交通事故発生件数が2012年から5年連続で全国ワースト1位だった。17年以降はワースト2位が続くが、19年の発生件数は615・4件(前年比79・4件減)と減少傾向にある。一方、交通事故死者数は増加傾向にあり、今年は10月末日現在、28人(前年同期比4人増)が命を落としている。

事故が多発する交差点などを対象にしたカラー舗装が進んでいる=佐賀市の天神橋交差点

 プロジェクトは、県出身やゆかりのあるデザイナーが県に対して自由にアイデアを発表する「勝手にプレゼンFES」で提案、事業化された。カラー舗装の青色は佐賀の広々とした青空をイメージし、集中力を高める効果があるという。舗装は事故が多発している交差点などを対象に県内約230カ所で実施している。
 県民一人一人に、自分事として「交通事故ゼロ」を認識してもらえるよう、「交通安全デザインコンテスト」も実施した。イラストレーション部門は「やめよう!佐賀のよかろうもん運転」のスローガンを広く伝えるデザインを、アイデア部門は交通事故を減らす効果があるツールやイベントなどを募集した。イラストレーション部門の優秀作は交通安全運動の懸垂幕やマグネットなどに採用する。アイデア部門も実現可能なものは今後の県の施策に活用していく。
 県交通事故防止特別対策室は「交通事故は誰もが当事者になり得るもの。もっと交通安全を自分の事として考え、安全な行動を心掛けてもらえるよう、これからも効果的な取り組みを模索しながら訴えていきたい」と話す。

歩こう。佐賀県。

楽しく歩いて地域再発見

 「近くのコンビニに行く時も車を使う」と言われるほど、佐賀県は自家用車への依存度が高い。一方で、このまま自家用車への過度な依存が続くと、公共交通の衰退や健康への悪影響などが懸念される。県は昨年度から「歩くライフスタイル」を推進し、ウオーキングアプリの配信やイベント開催を通して県民に「歩くことが楽しい」と思ってもらえるような環境づくりに取り組んでいる。

イベント「さがまちフットパス」で謎解きをしながら街を歩く参加者=11月、佐賀市

 プロジェクトのキャッチコピーは「歩こう。佐賀県。」。歩くことで、自家用車では見過ごしていたような地域の魅力との出合いや、心と体の健康増進につながることが期待される。県民の歩く機会が増えることで、公共交通の利用を促進する狙いもある。公共交通を利用するきっかけをつくろうと、今年は佐賀県内のバス事業者と協力し、小学生以下の子どもを対象としたクイズラリーを実施した。
 また、歩くきっかけづくりのため、昨年10月に配信を開始した佐賀県公式ウオーキングアプリ「SAGATOCO(サガトコ)」は、5万3千ダウンロードを突破した。今月20日からは県内20市町のウオーキングコースをアプリ内で順次公開している。コースに設定されたチェックポイントを巡ると、県内飲食店などで利用できるポイントがたまる仕組みで、楽しみながらウオーキングを継続してもらう。
 コースは「歩こう。佐賀県。」のホームページでも確認でき、アプリを使えない人でも楽しめる。また、コースを活用したイベントの情報もホームページ上で発信する予定だ。県交通政策課は「歩くライフスタイルが浸透することで、歩くことの楽しさや気持ちよさ、地域の魅力を再発見してもらいたい」と話す。

 

トピックス
鉄道を活用した観光促進

 佐賀県内で、鉄道を活用した観光客誘致が活発化している。鹿島市の「肥前浜宿」では、地元のNPO法人「肥前浜宿水とまちなみの会」や観光協会が中心となり、最寄りの肥前浜駅を活用して観光列車の誘致やおもてなしに取り組んでいる。
 その結果、10月中旬から運行が始まったJR九州の新観光列車「36ぷらす3」の停車駅に選ばれ、多くの乗客が酒蔵などの伝統的な建物が残る町並みの散策や地酒の飲み比べを堪能している。来年1月には、駅舎内に日本酒の利き酒などができる交流スペース「HAMA BAR」がオープン予定で、県交通政策課は「地元住民と協力し、佐賀ならではのおもてなしの場にしていきたい」と話す。

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