農林水産

 佐賀県は、これからの農業をけん引する園芸農業の振興に力を入れ、「稼げる農業」を実現するため、「さが園芸生産888億円推進運動」に取り組んでいる。また、「佐賀生まれ、佐賀育ちの佐賀牛」の生産拡大に向け、担い手の研修機能も備えたブリーディングステーションの整備も進めている。

ブリーディングステーション

佐賀生まれの子牛増産へ支援

 佐賀牛ブランドの維持・発展のために、佐賀県は「牛の産婦人科」ともいうべきブリーディングステーションの建設を唐津市で進めている。繁殖雌牛の種付けから分娩(ぶんぺん)までを行う施設だ。

 
 飼われている繁殖雌牛。佐賀牛の安定生産のためには、雌牛が素牛となる子牛をたくさん生むことが重要だ=武雄市の県畜産試験場

 将来佐賀牛となる子牛(肥育素牛)の県内自給率は29・2%(2019年度)で、7割を県外から仕入れている。近年、肥育牛は産地間競争が激化し、各県で子牛の囲い込みの動きがある。このため、佐賀牛の生産基盤を安定させるには、佐賀生まれの子牛を増やし、自給率の向上を図ることが大きな課題となっている。

 生産拠点となるブリーディングステーションは繁殖雌牛を250頭ほど飼う予定で、全国でも大規模な施設となる見込み。ここで肥育素牛となる子牛を産ませて哺(ほ)育・育成を行い、佐賀牛の生産基盤を支える一翼を担う。

 さらに農家が所有する不妊牛の治療やリハビリも行い、優秀な血統の受精卵を供給するなど、畜産農家の経営安定を支援する機能も持つ。また、分娩や発情の時期を予知するシステムなど最新の技術や機器の実証、普及活動なども行う計画だ。

 もう一つ、画期的なのは畜産農家を目指す人の研修の場にしようという点。全国的にも肉用牛農家の研修施設は少ないが、就農希望の若者にここで実習しながら、牛の飼養管理や繁殖の管理、人工授精などの技術を覚えてもらう。これにより、本県畜産の将来を担う人材の確保・育成も図る。

 運営主体はJAからつで、唐津市肥前町瓜ケ坂の予定地約4ヘクタールに繁殖や分娩用の牛舎など(計約1ヘクタール)を整備する計画。名称は「佐賀牛いろはファーム」に決まった。本年度、実施設計を行い、来年度に施設を整備。実施設計・監理、施設整備費用について、県が10億円を上限に定額補助する肝いりの施策だ。2022年度の運営開始を目指している。

さが園芸888運動

129の産地計画が本格化

 佐賀県内の農業振興を図ろうと、県は「さが園芸生産888億円推進運動(さが園芸888運動)」に取り組んでいる。2017年度に629億円あった園芸分野の農業産出額を2028年度までの10年で888億円まで伸ばそうという計画だ。

 県内ではタマネギやレンコン、アスパラガス、イチゴ、ハウスミカンなどの栽培が盛んで、県内の農業産出額のおよそ半分を園芸分野が占めている。成長が期待される分野だが、生産者の高齢化などで産地が縮小する懸念がある。そこで、農家所得の向上や産地の拡大を目指し、園芸分野で「888億円」という目標を掲げてJA、市町、県が一丸となって振興に取り組んでいる。

環境制御技術で栽培されているハウスのキュウリ

 運動の鍵となるのは産地で、現状を分析した経営カルテを作成した上で、面積や収量、販売額などの目標を定めた「園芸産地888計画」を策定した。県内の計画策定数は129(施設野菜59、露地野菜42、花卉(かき)12、特産8、果樹8)で、JAの生産部会を中心にヒアリングが行われるなど、目標達成に向けた取り組みが本格化している。

取り組みは、県の農林事務所単位の「地区運動推進支部」で地元市町、JAなど関係者が重点的にサポート。また、「県運動推進本部」では品目別にチームの活動を平行させ、目標の達成を後押ししている。

  具体的な対策として、施設園芸で栽培面積が1ヘクタールを超えるような超大規模農家の育成や多様な担い手の確保・育成を図るため大規模な園芸団地の整備を推進。新たな園芸作物の導入も進めたい考えだ。県園芸課は「産地の計画をより実効性のあるものにするため、今後も計画のブラッシュアップを働きかけたい」と説明。現場と話し合いを続け、現状に即したものに改善を重ねながら、産地のパワーアップを図る。

 

トピックス
新かんきつ、来春デビュー

 佐賀県が開発した新しいかんきつ「佐賀果試35号」が来春、デビューする。複数のブランド品種の特徴を広く合わせ持つ「中晩柑の“フルコース”」(県流通・貿易課)だ。

 

佐賀果試35号

 佐賀を代表する中晩柑の新たなブランドを、と県果樹試験場が20年以上かけて開発した。実は大きく、貯蔵性にも優れており、甘味と酸味のバランスが良いのが持ち味。県が行った消費者調査でも好評だった。ハウスの無加温栽培で1月中旬に収穫され、県は「プレミアム感を打ち出してPRしたい」と説明。ブランド名を決定した後、来年3月の販売開始を見込んでおり、生産者の期待も高まっている。

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