交 通

 佐賀県は拡張工事の完成を控えた九州佐賀国際空港ターミナルビルに新型コロナウイルス感染症防止対策を実施し、多目的スペースも整備して県内外からの誘客を図る。陸路にも注力し、佐賀唐津道路や有明海沿岸道路の整備を進め、利便性向上と観光振興に取り組む。

九州佐賀国際空港ターミナル拡張

コロナ後見据え施設整備

九州佐賀国際空港のターミナルビル東側に増築された国内線専用のスペース(手前)=佐賀市川副町

 1998年に開港した佐賀空港(佐賀市川副町)では、利用者の増加を背景にターミナルビルの拡張工事が進められ、2021年に完了する見通しとなっている。計画のさなかに新型コロナウイルス感染症の影響で運休や減便が相次ぐ事態に直面し、佐賀県は航空需要が回復する時期を見据えた取り組みにも注力する。
 利用者数の増加で旅客ターミナルビルが手狭になったことから、チェックインカウンター、搭乗待合室、保安検査場などを拡張し、利用者の利便性向上を図る。飲食や物販エリアもリニューアルし、搭乗客以外の人にも楽しんでもらえる空港を目指す。
 新型コロナ対策として、レストランでテイクアウトができるようにし、搭乗待合室のいすを隣席とのスペースが取れるものに変更するなど、利用者の密集・密接を減らす対策を進めている。県空港課は「ウィズコロナ、アフターコロナを見据えて施設整備を進めており、安心して空港を利用いただきたい」と話す。
 九州佐賀国際空港は近年、路線・便数が増加し、18年度の利用者は約82万人となり6年連続で過去最多を更新した。一方、19年には日韓情勢の影響などで韓国路線が運休し、20年には新型コロナの影響により国際線の全路線で運航を見合わせている。
 また、全日空は19年から九州佐賀国際空港を「イノベーションモデル空港」に位置付け、空港の地上支援業務の自動化や省力化に向けた実証実験を展開している。今秋は、利用客の手荷物をカートに自動で積み込む国内初のロボットと、航空機までカートを自動運転でけん引するトーイングトラクターを連携させる試験運用が定時運航の便で初めて実施された。

Tゾーン

「佐賀唐津」「有明海沿岸」結ぶ

 佐賀市と唐津市を結ぶ幹線道路「佐賀唐津道路」と、有明海沿岸地域にまたがる「有明海沿岸道路」。県は二つの道路がTの形でつながるクロスエリアを「Tゾーン」と名付け、利便性向上や産業、観光振興はもとより、災害発生時の避難や救急搬送など「命をつなぐ道」として重要な広域幹線道路と位置付けている。6月には佐賀唐津道路の一部である佐賀道路(延長4・2キロ)を着工し、整備を進めている。

佐賀唐津道路と有明海沿岸道路がつながった完成イメージ=佐賀市嘉瀬町

 佐賀唐津道路は、延長約40キロの地域高規格道路として計画され、これまでに東多久バイパス、厳木多久有料道路、厳木バイパスが開通している。有明海沿岸道路は沿岸8市町をつなぐ延長55キロの地域高規格道路で、福岡県大牟田市を起点に佐賀市などを経由して鹿島市に至る。いずれも区間ごとに国や県が事業主体となり、完成した区間から供用が始まっている。
 二つの道路が佐賀市嘉瀬町で接続して「Tゾーン」が完成すれば、佐賀市と唐津市、鹿島市間や福岡県大川市方面への所要時間が短縮される。佐賀県内の幹線道路である長崎自動車道や西九州自動車道との相乗効果も期待される。
 佐賀道路は2016年度に事業化し、設計や測量などを進めてきた。6月に佐賀市の建設現場周辺で開かれた着工式では、山口祥義知事ら関係者約50人が出席して工事の安全を祈願し、県内の広域幹線道路網の形成を推進することを確認した。総事業費は368億円。供用開始時期は未定。
 佐賀唐津道路が完成すると、唐津市と佐賀市の所要時間は現在の86分から65分に短縮する見込み。厳木バイパスの供用開始では、多久市や小城市で観光客が増えたとする調査結果もある。県道路課は「観光振興や物流、企業誘致への効果が期待できる。着実に進めていきたい」と話している。

 

トピックス
まなざしを宇宙へ

 宇宙ビジネスが世界で拡大を続ける中、佐賀県は本年度から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携推進事業「JAXAGA(ジャクサガ)」に取り組んでいる。人工衛星から撮影した画像データを農業や防災に活用し、県内企業と協力した宇宙・防災食の商品開発を模索している。
 また、九州佐賀国際空港では、大人から子どもまで楽しめる多目的スペースを整備し、宇宙をテーマにした映像や模型、パネルを展示する。宇宙教育を進める県立宇宙科学館(武雄市)とも連携して搭乗客以外の来訪につなげ、まなざしを宇宙に向けた地域活性化を目指す。

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