産 業

 佐賀県は将来の佐賀を担う若者へ向けて県内企業の魅力を発信し、地元での就職率は少しずつ上昇している。また、起業や新規事業の立ち上げなどを考える人への支援にも力を入れる。さらに、今年6月には佐賀の玄関口であるJR佐賀駅近くに、情報発信拠点「SAGA MADO(サガマド)」をオープン。観光客らに県内の観光情報を提供するほか、県産品の展示・テストマーケティングを行い、魅力を伝えている。

高校生の県内就職促進

若者と企業の“橋渡し役”

 県外への人材流出に歯止めをかけて県内企業への就職につなげようと、佐賀県は高校生を対象にした県内就職促進事業に力を入れている。産業人材課、法務私学課、建設・技術課、学校教育課の4課が連携。将来を担う若者と県内企業との“橋渡し役”として、支援を行っている。

「Web企業紹介会」で事業内容や採用情報を説明する担当者=6月、佐賀市

 昨年度、高校生や保護者を対象とした合同企業説明会をはじめ、生徒・保護者への企業情報の発信、企業向けに採用力向上セミナーなどを開いた。また、経済4団体へ高校生の積極採用を要請したり、工業高校を中心に就職のサポートを行う支援員を配置するといった複合的な対策が奏功し、2020年3月卒業生の県内就職率は県の調査によると61・2%(暫定値)で、目標だった「60%以上」を達成した。本年度からはさらに65%以上を目指して支援員を20人に拡充するなど、より細やかな就職支援に取り組んでいる。
 今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で対面での説明会や会社訪問が制限される中、ビデオ会議アプリを活用して、企業の採用担当者から高校生や保護者に会社概要などを説明する「Web企業紹介会」を開いた。県内企業への就職希望者が多い私立学校に対しても、学校で使う設備の更新などをサポートして資格取得や技術向上を後押し。企業に対し、資格や高い技術力を持つ生徒がいるといった各学校の情報を提供し、積極的な採用を促していく。
 新入社員の定着に向けた取り組みも始めた。入社後3年以内の離職が全国的な課題になっており、企業に新入社員とのコミュニケーションについて学んでもらい、新入社員には社会人としてのマナーを教えたり、会社を超えた仲間づくりを促したりと、双方にアプローチしている。県産業人材課は「最初の就職先は生徒の人生に大きく関わる。就職して終わりではなく、その先まで見据えた支援をしていきたい」と話している。

SAGA MADO

県産品幅広くアピール

 佐賀駅南口に今年6月開業した商業施設「コムボックス佐賀駅前」。その1階にある観光・県産品情報発信拠点「SAGA MADO」が人気を集めている。唐津焼、名尾手すき和紙などの工芸品、飲料、菓子など20~30社の約300点を展示・販売。観光客らがくつろぎながら佐賀の魅力を感じることができる空間としてにぎわう。10月末までに、想定を超える延べ12万6千人(1日平均900人以上)が来場した。

多くの県産品を販売する情報発信拠点「SAGA MADO」=佐賀市

 観光名所や県産品、文化、スポーツなど幅広く魅力をアピールする場として佐賀市観光協会とさが県産品流通デザイン公社が共同経営している。約180平方メートルの施設内はガラス張りで開放感があり、ショーケースや飾り棚には諸富家具を採用した。有田焼や尾崎人形など伝統工芸品のほか、嬉野茶や県内メーカーの飲料、加工食品など幅広く取り扱っている。
 定期的にイベントも企画し、若者に人気のセレクトショップ「atmos(アトモス)」とコラボした「SAGA SAKE COLLECTION(サガ・サケ・コレクション)」の限定ラベル酒なども期間限定で販売した。
 常駐する観光コンシェルジュ3人は、外国人向けに多言語での案内にも対応。県内の名所・観光地に詳しくプランも提案する。新型コロナウイルス感染症対策で受け付けに設置している飛沫(ひまつ)防止用シートには、「佐賀の七賢人」を描くなど遊び心も満載だ。
 訪れた人からは「洗練された商品が多くすてき」「佐賀の逸品を一度に知ることができ楽しい」「また来たい」との声が聞かれた。今後は、プロスポーツチームのパブリックビューイングなどにも挑戦したい考えで、佐賀の新しい観光スポットとしての定着を目指す。入場無料。観光案内は午前9時から午後6時、県産品情報発信は午前10時から午後8時。

 

トピックス
スタートアップ支援

 佐賀県は、起業や新事業のビジネス化を後押しする事業に2年前から取り組んでいる。スタートアップ企業や起業を考える人材の発掘・育成をはじめ、県による新規性・革新性のある製品の試験的な導入やクラウドファンディングを活用した資金調達促進など中長期的な視点で支援する。きらりと光るビジネス案に着目したきめ細かな支援によって、大手企業とタイアップしたり、全国規模の顕彰やコンテストなどで入賞したりといった実績につながっているという。
 県DX・スタートアップ推進室は「佐賀から全国・世界へ挑戦したいと集まる有望な企業や人材に、深くアプローチしてきた結果」と話している。

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