防 災

 豪雨災害が全国的に相次ぐ中、佐賀県は国や市町など関係機関・団体と連携して六角川流域全体の治水対策を進めている。また、人命救助や情報収集といった役割を担う消防防災ヘリコプターの運用開始が迫る。災害時に県民の命と安全を守るため、ハード、ソフトの両面からさまざまな施策に取り組んでいる。

六角川水系治水対策

逃げ遅れゼロ、被害最小化

 2019年8月の佐賀豪雨を受け、佐賀県や国、市町が連携して「六角川水系緊急治水対策プロジェクト」を実施している。河川改修といったハード面の治水対策をはじめ、流域の関係者の協力を得ながら、ため池やクリークの活用などの浸水被害軽減対策も進めて「逃げ遅れゼロ」と「社会経済被害の最小化」を目指す。

六角川水系緊急治水対策プロジェクトの一環で取り組む山犬原川の改修工事=多久市北多久町

 関係機関でつくる協議会が佐賀豪雨による六角川水系の大規模な浸水被害を検証し、今後の流域での取り組みを昨年12月にプロジェクトとしてとりまとめた。

 河川における対策では、「河川激甚災害対策特別緊急事業」に採択され、県は国・市町と連携しておおむね5年間で六角川水系の治水対策に集中的に取り組むこととしている。国が牛津川遊水池(小城市)の整備や六角川、牛津川の河道掘削、高橋排水機場(武雄市)のポンプの増強などを進め、県も多久市の山犬原川、武雄市の武雄川の改修や広田川の内水対策などに取り組む。

 また、まちづくりやソフト面の施策の中に「住まい方の工夫」を掲げる。まちづくりでは、宅地のかさ上げや浸水リスクの高い区域への居住室の建築規制などを検討し、水害に強い地域づくりを目指す。ソフト面では、ハザードマップの活用を通じた災害危険度の情報や河川水位、映像など避難につながる情報のきめ細やかな発信にも取り組む。
 さらに流域における対策として、大雨の前にため池の貯留水やクリークの農業用水を放流し、貯水容量を確保して浸水被害の軽減を図る。

 国は、河川・下水道管理者が主体となって行う治水対策に加え、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる「流域治水」を推進し始めた。県河川砂防課は「プロジェクトは流域治水を先行的に取り入れている。関係機関との連携をさらに深めながら進めていきたい」としている。

防災ヘリ来春運用開始

高速性や機動性に期待

 佐賀県は2021年3月末、消防防災ヘリコプター(防災ヘリ)の運用を開始する。災害発生時の迅速な情報収集や人命救助を担い、陸路の移動が困難な状況ではヘリコプターの高速性や機動性を生かした活動が期待される。現在、県防災航空隊の隊員の訓練など運用開始に向けた準備が進められている。

大分県防災航空隊と訓練をする佐賀県防災航空隊の隊員=大分県

 防災ヘリは都道府県や消防機関が保有し、人命救助のほか林野火災での空中消火、現場への消防隊員の投入といった活動を行っている。18年7月の西日本豪雨では防災ヘリによる早期の情報収集や浸水で孤立した被災者の救出などの活動が注目され、災害時に果たす重要な役割を改めて示した。

 九州佐賀国際空港(佐賀市)の東側に整備する県防災航空センターが12月末に完成するのに合わせ、防災ヘリが納入される。配備するのは防災ヘリやドクターヘリなどで活躍している機種。比較的コンパクトな機体であるため着陸場所の制限が少ないのが特徴で、騒音も他の機種より小さい。

 県内のほぼ全域が離陸から15分圏内となり、ヘリが着陸できる場所を100カ所以上選定して地上隊との緊密な連携を図る。また、唐津市の離島7島に整備されるヘリポートの活用も想定する。今年4月に発足した県防災航空隊の活動班の隊員9人は九州内外での研修・訓練を重ね、活動マニュアルの策定なども進めている。

 同センターは大規模災害時に全国から集まってくる緊急消防援助隊の応援ヘリの拠点施設と位置付けられ、ヘリを最大22機収容できる駐機場を整備する。県防災航空センター準備室は「防災ヘリの知見や運用で得たノウハウを蓄積し、大規模災害時に応援で駆け付ける多くのヘリの適切なオペレーションにもつなげたい」と話す。

トピックス
命の72時間事業

 佐賀県は本年度から、在宅の人工呼吸器使用者に災害時の非常用電源となる自家発電機や蓄電池などの購入費を助成する「命の72時間事業」を実施している。災害発生時に人命救助の目安とされる72時間程度の非常用電源を確保することで命と安全を守る。

 補助は最大20万円で、購入費が上限額を上回らなければ自己負担はない。対象は在宅で人工呼吸器を使用し、災害時などに生命維持のため非常用電源を必要とするすべての障害者、難病患者、小児慢性特定疾病児童ら。各保健福祉事務所に申請窓口があり、随時、相談にも応じる。県障害福祉課は「災害の状況によって避難所ではなく在宅での避難も想定され、支援を通じて備えにつなげたい」としている。

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