健 康

 佐賀県は、“元気で長生き”を目指す「さが健康維新県民運動」の一環として、「食事は野菜からよくかんで」を推奨する「サガ・ベジタブルスタートプロジェクト(ベジスタ)」を展開している。野菜をあと1皿分多く食べることで生活習慣病の予防に役立てる。

 また、片耳だけ難聴の児童生徒への補聴器や人工内耳の購入補助、小児がんなどの治療で造血細胞を移植したことにより、移植前の予防接種で獲得した免疫がなくなった未成年者への予防接種の再接種費用助成なども始めた。今後も生活に不便を感じる人の支援の網の目を小さくし、きめ細やかな対応を続けていく。

片耳難聴に支援拡大

骨髄移植後の再接種も助成

 両耳が聞こえづらい人に比べ、これまで支援が届きにくかった片耳難聴。佐賀県は本年度から、18歳以下で、身体障害者手帳の交付対象にならない軽度や中度の片耳難聴の人や人工内耳を装着している人に、補聴器の購入や修理、人工内耳体外機の更新費用などの一部を助成する。

自身も片耳が難聴で支援を訴えた山口友花さん。県の素早い対応に感謝する=伊万里市

 片耳難聴の人は、音がした方向を特定したり、さまざまな音を聞き分けたりするのが難しい。また、大勢との会話は疲れるため、コミュニケーションに消極的になることがあるという。

 障害者手帳の交付対象でなければ国の購入補助がなく、これまで県は軽度や中度の両耳難聴の人に補助してきたが、今回、片耳難聴の人にも範囲を拡大。費用の3分の2を県と市町が負担し、本人負担を3分の1とする。

 昨年から片耳難聴の長女友花さん(14)らとともに「片耳難聴の会」をつくり活動を続ける山口眞丘さん(39)=伊万里市=は「なかなか理解が進まなかった片耳だけの難聴に、素早く対応してもらえた」と感謝し、「こうした制度が全国に広がり、悩む子どもや保護者の助けになってほしい」と期待する。

 また、県は小児がんなどの治療で造血細胞を移植したことにより、定期の予防接種で獲得した免疫がなくなった時に、未成年者が再接種する費用を助成する。

 造血細胞は基本的に骨髄内にあり、血球を作るとともに免疫をつかさどる。造血細胞移植を行う前に大量の抗がん剤や放射線照射による治療を行うことにより、患者本人の造血細胞が壊され、血球が作られなくなる。これにより、移植前に予防接種で獲得した免疫の効果がなくなってしまうため、再度の接種が必要となる。

 定期予防接種には数万円かかるものもあり、すべて受けると約18万円必要となる。県健康増進課は、「患者や家族は病気への精神的不安に加え金銭的な負担も大きい。不安を取り除く手助けになれば」と利用を呼び掛ける。
 

ベジタブルスタートプロジェクト

野菜を先によくかんで

 「いただきますは野菜から」を合言葉に、佐賀県は野菜から先に、よくかんで食べる食事の習慣化を目指す「サガ・ベジタブルスタートプロジェクト(ベジスタ)」事業を今年から展開。県民の健康づくりを応援する。

食事では野菜から先に、よくかんで食べることを子どもたちに伝える県オリジナルの絵本「いただきますはやさいから」(作・絵 谷口智則)

 アスパラガスやレンコン、タマネギなど、農作物が豊富な佐賀県。だが、意外なことに県民の1日の平均野菜摂取量は、男性278グラム、女性247グラムと、厚生労働省が目標とする350グラムから約80~100グラム、約1皿分不足している(2016年国民健康・栄養調査)。

 野菜には、ビタミンやミネラル、食物繊維など、体の調子を整える大切な栄養素が豊富に含まれている。さらに、最初に野菜を食べることを心掛けることで、血糖値の急激な上昇を抑え、生活習慣病の予防にもつながる。こうした食生活の見直しによって、糖尿病患者と糖尿病予備群を合わせた割合が全国ワースト(16年度特定健診結果)、メタボリックシンドローム該当者とその予備群の増加率(08年から17年まで)が全国ワースト2位など、憂慮される数字の改善を図る。

 県はまず子どものころから野菜を食べる食生活を身につけてもらおうと、人気絵本作家谷口智則さんを起用した県のオリジナル絵本「いただきますはやさいから」を制作した。肉ばかり食べていたライオン君が野菜の妖精と出会い、健康な体を取り戻すストーリー。県内の全ての保育所、幼稚園、認定こども園、小学校と公立図書館に配布し、谷口さんを招いたイベントも開催した。

 また、足りない1皿分の野菜を補うため、農家やシェフらが考案した手軽で彩り豊かなレシピをまとめたリーフレットを作成した。今後も季節の野菜料理をベジスタのインスタグラムで紹介していく。県健康増進課は「野菜を先によくかんで食べる、野菜をあと1皿分多く摂るなど、食生活をちょっとだけ見直して『元気で長生き』を目指そう」と呼び掛けている。
 

トピックス
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 早期発見、早期治療が重要な乳がんや子宮がん。ともに全国ワーストレベルの死亡率の改善を図ろうと、佐賀県は女性向けのがん啓発リーフレットを作成した。

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